2012年03月09日
ここは青いボーカロイドのカイト兄さんを中心に、妄想を書き連ねているブログです。
個人の趣味で作られたもので、関係各企業様、動画サイト様、動画の作者様ほか
関係者各位とは一切関係ありません。
また、ブログ内作品で登場人物が特定の動画に言及していても、
その動画を貶める意図は一切ないことをご了承ください。
人生に何の良い影響も与えないブログですので、中学生以下の方は閲覧しないことをお勧めします。
以下にブログの傾向と管理人について。
・普段活動している本命ジャンルがあるので、書きたいものを書いたら撤収する予定です。
・そのため、カップリングや扱うネタに自重が足りません。
・小説も漫画も書きますが、どちらも中途半端です。
・管理人は腐女子です。
・カイト兄さんは受だと思います。
・でも、カイミクも取り扱ってます。
・マスメイ成分も高いです
・ホモもノーマルも出現しますので、どちらかが苦手な人は各作品の注意書きをよくお読みください。
・各作品は特に注意書きがない場合リンクしてません。
・ボーカロイドの設定も統一されてない(実体があったりなかったり)のでご注意ください。
・音楽の知識もコンピュータの知識もない管理人ですので、用語の間違いはご容赦ください。
・唐突にブログが消える場合もあります。ご了承ください。
・カイト兄さんの1人称が「僕」になったときは、8割がた死亡フラグが立ちます。
管理人 :はねだ
ブログ名:道草迷子(みちくさまいご)
リンク先:http://monini.blog71.fc2.com/

(リンクフリーです)
メールアドレス:m-oni_001■mail.goo.ne.jp(■を@に変えてください)
個人の趣味で作られたもので、関係各企業様、動画サイト様、動画の作者様ほか
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また、ブログ内作品で登場人物が特定の動画に言及していても、
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以下にブログの傾向と管理人について。
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・そのため、カップリングや扱うネタに自重が足りません。
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・管理人は腐女子です。
・カイト兄さんは受だと思います。
・でも、カイミクも取り扱ってます。
・マスメイ成分も高いです
・ホモもノーマルも出現しますので、どちらかが苦手な人は各作品の注意書きをよくお読みください。
・各作品は特に注意書きがない場合リンクしてません。
・ボーカロイドの設定も統一されてない(実体があったりなかったり)のでご注意ください。
・音楽の知識もコンピュータの知識もない管理人ですので、用語の間違いはご容赦ください。
・唐突にブログが消える場合もあります。ご了承ください。
・カイト兄さんの1人称が「僕」になったときは、8割がた死亡フラグが立ちます。
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- | 2012-03-09 19:49
- | その他
- |
2011年03月17日
この辺に目次を↓
小説
長編
■フェアリーテイル
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
カイミク。マスメイ・レンリンも含む。
短編
○現代(実体あり)
■形代……マスカイ 暴力描写があるので注意。
■祝福……形代のマスター視点+蛇足。死にネタ。
■Ariel……ミクカイ(未満) マスメイ、カイマス(女)も含む。
■300 years……Arielの余談。しいて言うならマスメイ。マスター視点。
■Above the waves 1……Arielのマスメイ出会い編。
■Pearly Gates……Ariel、300 yearsの更に続き。カイト視点マスメイ。死にネタ。
■刻印 1 2……レンカイ ナンバリングで悩む兄さん。
■対価と賠償……カイミク。「アイス<妹」な自分に気づいてない兄さん。
■擬物心中顛末記……カイミクで心中ネタ。死にネタな上に嫌な話なのでご注意を。 蛇足
■アイリス……ハル/ディン・ホテルネタでカイリン。死にネタ。
○現代(実体なし)
■パンドラ……カイミク 心を持てない二人。
■休日鑑賞会……カイミク(未満)。二人でPV見ながらだらだらしてるだけの話。
■休日鑑賞会2……↑の続き。今度こそイチャイチャ鑑賞会。
■おしまいの歌……消失ネタ。死にネタ注意。
■Firefly……マス←ミクから始まるカイミク話。バッドエンド風味。
■Nightjar……Fireflyの続き。カイミク未満。
■February Bride……嫁入りPVネタカイミク。
■詭弁とハッピーエンド……『悪ノ/ハッピーエンド』ネタ。舌先三寸兄さん。
○現代(実体なし・新婚カイミク)
■Sweet……何故か新婚カイミク。
おまけのエロゲ的イベント その1 その2 その3 その4
■Bloom……新婚カイミク馴れ初め話
■Blossom……※R15注意 新婚カイミク。二度目の夜。
■扉の向こう側で……新婚カイミクでカイメイPV鑑賞。焼きもちミクさん。
■週末発生装置……※R18注意 他所様の素敵なイラストから設定パクってきた新婚ミクカイミク。
■Ring……またもや素敵イラストからムラッとして書いた新婚カイミク小ネタ。甘め。
■虹 1 2……新婚カイミクで離婚危機。シリアスぶった馬鹿話。
■Signal……新婚カイミク最終回……っぽい話。
■Catcher in the...……新婚カイミクのイチャイチャ会話。ネギ畑でつかまえて。
■冬のできごと……新婚カイミクで風邪ネタ。
■不健全な午後……新婚カイミク。テーマは「日曜日に寝込みを襲う」。
■ネギと歌とドライヤー(仮題)……省エネ形式で新婚カイミク。妙に甲斐甲斐しい兄さん。
■One and Only 1 2 ……※R15注意 新婚カイミクと体験版ミクの話。ややシリアス。
■チャームポイント……新婚カイミクで馬鹿話。おっぱいネタ。
■期間限定遠距離恋愛 1 2 3…………※R18注意 新婚カイミクでおあずけH。兄さん女体化注意。
■寝室劇団……ホントは新婚組じゃなかったけど、もう新婚組でいいや、なアホ会話。
■新ミク考察……新ミクについて考えるカイミク夫婦。
★エア発行物(pdf) …… (別窓)新婚カイミクの印刷用まとめ。現在『Signal』まで。
○現代(人間化)
■Honey……カイミク なぜか二人とも人間。社会人と高校生の義兄妹。
■はちみつキャンディ……Honeyの続き。4年後。
■三重奏……カイ←ミク 若干カイメイ。姉夫婦+妹の三角関係?
■Fenugreek……SP/ICE!PVネタのバッドエンド・カイ←ミク。真っ黒ミク。
■おとぎ話の時間はもう終わり 1 2……※R15注意ロミデレネタ。家庭教師と女子高生カイミク。
■オオカミが赤頭巾ちゃんに食べられるまでの話……おとぎ話〜の兄さん視点。
■Snowflakes……他所様から設定をお借りした、それぞれにハンデを持つカイミクの話。
○似非中世もの
■告解……カンタ○ラ方面を目指して失敗したミクカイ。死にネタと生首注意。
■鐘の音が響く前に……レンミク←カイ。『悪ノ』ネタ。『召使』ネタバレ注意。死にネタ。
■カナリア……うっかり続いた『悪ノ』ネタ。「鐘の〜」の続き。
■海辺の街で……更に続いた『悪ノ』ネタ。上記二つのその後の話。死にネタ。
■花と星 1 2……駆け落ちカイミクミクカイ。なんちゃって西洋中世+ご都合展開。
■Eden……『眠れる森/にて』ネタ。似非中世カイミク。近親相姦ネタ注意。
■Aschenputtel……『サンドリ/ヨン』ネタ。舞踏会カイミク。死にネタ。
■Gelobte Land……Aschenputtelの続き。死にネタだけど一応ハッピーエンド。
■とある料理人の生涯について……『悪食/娘』ネタ。死にネタ。若干猟奇的につき注意。
■In the moonlight……『mo/onlit bear』と『置き去り月/夜抄』ネタ。死にネタ。ネタばれ注意。
○和風
■向日葵……『夢みる/ことり』ネタ。江戸じゃなくてカイミクでもないです。死にネタ。
■白百合 1 2 3……向日葵の兄さん視点
○その他
■赤い花……『白黒/の世界』ネタ。レン視点で進む軍人と街娼カイミク。死にネタ。
漫画
(■=分類なし ■=M兄さん ■=ミクカイ ■=新婚組)
■カイトの家族紹介漫画
1 2 3
■駆け落ち漫画 ……駆け落ちてないカイミク漫画
■しっとのあらし……あらしよくない
■露兄と白妹……某国擬人化漫画ネタカイミク。
■ニコに関してがんばる……もしかしたらセクハラ。
■兄探知機能付……どこに行ってもみつけられるよ
■パンツ漫画
1 2
■カイミク漫画(2p) ……ネットサーフィンとエロ画像と挟めるか挟めないか漫画
■リンレン漫画……兄さん出ずっぱりのリンレン漫画
1 2 3 おまけ
■新人をめぐるあれこれ漫画
決意(一枚絵) 先制攻撃 模索中 今そこにある敵 家族会議 新人への手紙 新人からの手紙
悩み相談 相談編 回答編 想定外の事態
■裸マフラー漫画……ミクに○姦されてる兄さん漫画
■KAIKO漫画……KAIKO相手でも容赦しないミク漫画
■ミク誕漫画
希望調査 一時避難 避難生活 そして当日
■エア○○……エアカイミク考察漫画
■3939兄さん漫画……うっかりこんなイラスト描いたばかりに、奪われた兄さん漫画
記入場所 察知 発覚 非売品 ポジティブ
■03ネタ漫画 1 2 3 4 5 6 7 ……巡音さん襲来漫画
■新婚カイミク漫画……寝相の悪いミク漫画
■Gift(3p)……新婚カイミクで子供の話
■2/19……結婚記念日2日後
■朝一の楽しみ……むしろチャームポイント
■本気のホワイトデー……本気過ぎる奥さん
■呼び方について……平均値だそうです
■研究材料……研究用だそうです。
小説
長編
■フェアリーテイル
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
カイミク。マスメイ・レンリンも含む。
短編
○現代(実体あり)
■形代……マスカイ 暴力描写があるので注意。
■祝福……形代のマスター視点+蛇足。死にネタ。
■Ariel……ミクカイ(未満) マスメイ、カイマス(女)も含む。
■300 years……Arielの余談。しいて言うならマスメイ。マスター視点。
■Above the waves 1……Arielのマスメイ出会い編。
■Pearly Gates……Ariel、300 yearsの更に続き。カイト視点マスメイ。死にネタ。
■刻印 1 2……レンカイ ナンバリングで悩む兄さん。
■対価と賠償……カイミク。「アイス<妹」な自分に気づいてない兄さん。
■擬物心中顛末記……カイミクで心中ネタ。死にネタな上に嫌な話なのでご注意を。 蛇足
■アイリス……ハル/ディン・ホテルネタでカイリン。死にネタ。
○現代(実体なし)
■パンドラ……カイミク 心を持てない二人。
■休日鑑賞会……カイミク(未満)。二人でPV見ながらだらだらしてるだけの話。
■休日鑑賞会2……↑の続き。今度こそイチャイチャ鑑賞会。
■おしまいの歌……消失ネタ。死にネタ注意。
■Firefly……マス←ミクから始まるカイミク話。バッドエンド風味。
■Nightjar……Fireflyの続き。カイミク未満。
■February Bride……嫁入りPVネタカイミク。
■詭弁とハッピーエンド……『悪ノ/ハッピーエンド』ネタ。舌先三寸兄さん。
○現代(実体なし・新婚カイミク)
■Sweet……何故か新婚カイミク。
おまけのエロゲ的イベント その1 その2 その3 その4
■Bloom……新婚カイミク馴れ初め話
■Blossom……※R15注意 新婚カイミク。二度目の夜。
■扉の向こう側で……新婚カイミクでカイメイPV鑑賞。焼きもちミクさん。
■週末発生装置……※R18注意 他所様の素敵なイラストから設定パクってきた新婚ミクカイミク。
■Ring……またもや素敵イラストからムラッとして書いた新婚カイミク小ネタ。甘め。
■虹 1 2……新婚カイミクで離婚危機。シリアスぶった馬鹿話。
■Signal……新婚カイミク最終回……っぽい話。
■Catcher in the...……新婚カイミクのイチャイチャ会話。ネギ畑でつかまえて。
■冬のできごと……新婚カイミクで風邪ネタ。
■不健全な午後……新婚カイミク。テーマは「日曜日に寝込みを襲う」。
■ネギと歌とドライヤー(仮題)……省エネ形式で新婚カイミク。妙に甲斐甲斐しい兄さん。
■One and Only 1 2 ……※R15注意 新婚カイミクと体験版ミクの話。ややシリアス。
■チャームポイント……新婚カイミクで馬鹿話。おっぱいネタ。
■期間限定遠距離恋愛 1 2 3…………※R18注意 新婚カイミクでおあずけH。兄さん女体化注意。
■寝室劇団……ホントは新婚組じゃなかったけど、もう新婚組でいいや、なアホ会話。
■新ミク考察……新ミクについて考えるカイミク夫婦。
★エア発行物(pdf) …… (別窓)新婚カイミクの印刷用まとめ。現在『Signal』まで。
○現代(人間化)
■Honey……カイミク なぜか二人とも人間。社会人と高校生の義兄妹。
■はちみつキャンディ……Honeyの続き。4年後。
■三重奏……カイ←ミク 若干カイメイ。姉夫婦+妹の三角関係?
■Fenugreek……SP/ICE!PVネタのバッドエンド・カイ←ミク。真っ黒ミク。
■おとぎ話の時間はもう終わり 1 2……※R15注意ロミデレネタ。家庭教師と女子高生カイミク。
■オオカミが赤頭巾ちゃんに食べられるまでの話……おとぎ話〜の兄さん視点。
■Snowflakes……他所様から設定をお借りした、それぞれにハンデを持つカイミクの話。
○似非中世もの
■告解……カンタ○ラ方面を目指して失敗したミクカイ。死にネタと生首注意。
■鐘の音が響く前に……レンミク←カイ。『悪ノ』ネタ。『召使』ネタバレ注意。死にネタ。
■カナリア……うっかり続いた『悪ノ』ネタ。「鐘の〜」の続き。
■海辺の街で……更に続いた『悪ノ』ネタ。上記二つのその後の話。死にネタ。
■花と星 1 2……駆け落ち
■Eden……『眠れる森/にて』ネタ。似非中世カイミク。近親相姦ネタ注意。
■Aschenputtel……『サンドリ/ヨン』ネタ。舞踏会カイミク。死にネタ。
■Gelobte Land……Aschenputtelの続き。死にネタだけど一応ハッピーエンド。
■とある料理人の生涯について……『悪食/娘』ネタ。死にネタ。若干猟奇的につき注意。
■In the moonlight……『mo/onlit bear』と『置き去り月/夜抄』ネタ。死にネタ。ネタばれ注意。
○和風
■向日葵……『夢みる/ことり』ネタ。江戸じゃなくてカイミクでもないです。死にネタ。
■白百合 1 2 3……向日葵の兄さん視点
○その他
■赤い花……『白黒/の世界』ネタ。レン視点で進む軍人と街娼カイミク。死にネタ。
漫画
(■=分類なし ■=M兄さん ■=ミクカイ ■=新婚組)
■カイトの家族紹介漫画
1 2 3
■駆け落ち漫画 ……駆け落ちてないカイミク漫画
■しっとのあらし……あらしよくない
■露兄と白妹……某国擬人化漫画ネタカイミク。
■ニコに関してがんばる……もしかしたらセクハラ。
■兄探知機能付……どこに行ってもみつけられるよ
■パンツ漫画
1 2
■カイミク漫画(2p) ……ネットサーフィンとエロ画像と挟めるか挟めないか漫画
■リンレン漫画……兄さん出ずっぱりのリンレン漫画
1 2 3 おまけ
■新人をめぐるあれこれ漫画
決意(一枚絵) 先制攻撃 模索中 今そこにある敵 家族会議 新人への手紙 新人からの手紙
悩み相談 相談編 回答編 想定外の事態
■裸マフラー漫画……ミクに○姦されてる兄さん漫画
■KAIKO漫画……KAIKO相手でも容赦しないミク漫画
■ミク誕漫画
希望調査 一時避難 避難生活 そして当日
■エア○○……エアカイミク考察漫画
■3939兄さん漫画……うっかりこんなイラスト描いたばかりに、奪われた兄さん漫画
記入場所 察知 発覚 非売品 ポジティブ
■03ネタ漫画 1 2 3 4 5 6 7 ……巡音さん襲来漫画
■新婚カイミク漫画……寝相の悪いミク漫画
■Gift(3p)……新婚カイミクで子供の話
■2/19……結婚記念日2日後
■朝一の楽しみ……むしろチャームポイント
■本気のホワイトデー……本気過ぎる奥さん
■呼び方について……平均値だそうです
■研究材料……研究用だそうです。

- | 2011-03-17 19:50
- | その他
- |
2011年03月16日
メルフォから感想くださった方、ありがとうございます。
アドレスがなかった方だけ、追記にお返事を。
返信不要という方もありがとうございます。とても励みになります。
(2/4追加)
昨年までにお返事した分はこちらへ →■2008 →■2009
※上へ行くほど新しいです。
2月4日 0時9分送信の方へ
なるほど! アザラシの赤ちゃんみたいに、生まれた時は真っ白なのですね。「ママみたいな素敵なボーカロイドになるよ」と周囲に言われて育ったのに、成長とともにどんどん青くなって涙目になる子ミクを想像してしまいましたw
2月2日 1時27分送信の方へ
そんな空回りミク、ぜひとも見てみたいですwきっと練習通りに笑顔を見せているつもりでも、緊張のあまり引きつってるんでしょうね。それを見た兄さんが、「ミクが何か怒ってる」と勘違いするのでしょうね。
1月27日 23時41分送信の方へ
家では珍しいタイプの兄さんでした。図々しすぎて、もう亜種なんじゃないかって気がしますよ。
黒ミクエロミクも好きだと言ってくださって、ありがとうございます〜。
1月23日 2時24分送信の方へ
感想ありがとうございます!当ブログ内にはほとんど生息していない、うぶなカイミクでした。リンレンがくぽが来てからめーちゃんとルカが来るまでの間を書いてみたい気もするのですが、長編はじめ、まだ書いてないものが色々あるのでやめときますw多分。
1月20日 0時57分送信の方へ
運命の青いマフラーでぐるぐる巻きにされてる2人を見たくなったので、
ひたすらちまちま編みました。ちまちまと。我ながら頑張るところを間違えてると思いますw
1月10日 16時41分送信の方へ
ああ! 「罰ゲーム?」とか言いそうですね、このKAITO。ミクもそれなりにツンですが、それ以上に自己評価の低い兄さんが「ミクみたいな高嶺の花が俺を相手にするわけないよね。せめてミクの良き兄でいなくちゃね」と思ってて、そんな兄さんの行動が、より一層ミクをイライラさせてる状態ではないかと。なにもかも、鈍い兄さんが悪いのです。
1月2日 22時37分送信の方へ
教えてくださってありがとうございます! でも、ご推察通り大好物なので、既にマイリストに入れた後でしたw
色々とツボを突いてくる動画なのですが、ミクが一番おかしいところが特にお気に入りです。
アドレスがなかった方だけ、追記にお返事を。
返信不要という方もありがとうございます。とても励みになります。
(2/4追加)
昨年までにお返事した分はこちらへ →■2008 →■2009
※上へ行くほど新しいです。
2月4日 0時9分送信の方へ
なるほど! アザラシの赤ちゃんみたいに、生まれた時は真っ白なのですね。「ママみたいな素敵なボーカロイドになるよ」と周囲に言われて育ったのに、成長とともにどんどん青くなって涙目になる子ミクを想像してしまいましたw
2月2日 1時27分送信の方へ
そんな空回りミク、ぜひとも見てみたいですwきっと練習通りに笑顔を見せているつもりでも、緊張のあまり引きつってるんでしょうね。それを見た兄さんが、「ミクが何か怒ってる」と勘違いするのでしょうね。
1月27日 23時41分送信の方へ
家では珍しいタイプの兄さんでした。図々しすぎて、もう亜種なんじゃないかって気がしますよ。
黒ミクエロミクも好きだと言ってくださって、ありがとうございます〜。
1月23日 2時24分送信の方へ
感想ありがとうございます!当ブログ内にはほとんど生息していない、うぶなカイミクでした。リンレンがくぽが来てからめーちゃんとルカが来るまでの間を書いてみたい気もするのですが、長編はじめ、まだ書いてないものが色々あるのでやめときますw多分。
1月20日 0時57分送信の方へ
運命の青いマフラーでぐるぐる巻きにされてる2人を見たくなったので、
ひたすらちまちま編みました。ちまちまと。我ながら頑張るところを間違えてると思いますw
1月10日 16時41分送信の方へ
ああ! 「罰ゲーム?」とか言いそうですね、このKAITO。ミクもそれなりにツンですが、それ以上に自己評価の低い兄さんが「ミクみたいな高嶺の花が俺を相手にするわけないよね。せめてミクの良き兄でいなくちゃね」と思ってて、そんな兄さんの行動が、より一層ミクをイライラさせてる状態ではないかと。なにもかも、鈍い兄さんが悪いのです。
1月2日 22時37分送信の方へ
教えてくださってありがとうございます! でも、ご推察通り大好物なので、既にマイリストに入れた後でしたw
色々とツボを突いてくる動画なのですが、ミクが一番おかしいところが特にお気に入りです。
- | 2011-03-16 12:00
- | その他
- |
2010年02月07日
あたりめ動画が大好きです。→ 感染源(sm9529884) full(sm9624737)
キリッとした表情が特にお気に入りです。
そのうち兄さんも参戦しないかなー。ホタテとか昆布とかで。
パパが何か言うより先に、ママミクが激怒しそうですね。
そしてショックを受けつつも、子ミクを慰める役を引き受けるパパという図しか浮かびません。
「ネギを食べればママみたいになれるよ」と慰められたものの、
実は娘はネギよりアイスが好きだとか、だけどママを目指して必死にネギを食べたりとか、
ほのぼの家族妄想が止まらなくなりそうです。
キリッとした表情が特にお気に入りです。
そのうち兄さんも参戦しないかなー。ホタテとか昆布とかで。
パパが何か言うより先に、ママミクが激怒しそうですね。
そしてショックを受けつつも、子ミクを慰める役を引き受けるパパという図しか浮かびません。
「ネギを食べればママみたいになれるよ」と慰められたものの、
実は娘はネギよりアイスが好きだとか、だけどママを目指して必死にネギを食べたりとか、
ほのぼの家族妄想が止まらなくなりそうです。
- | 2010-02-07 21:13
- | 小説(短編)
- |
2010年02月06日
新婚3年目なカイミク
(もう新婚じゃない気がするW)
ある日、外出先から戻って来ると
「お帰りにゃさい、お兄にゃん」
我が家のリビングに痴女がいた。
いや、痴女っていうか、ミクなんだけど。ついでに言えばこのミクは、結婚生活もそろそろ三年目に突入する、愛する我が妻だったりする。
俺はリビングの戸口からそんな彼女を見つめつつ、ああ、結婚前はよくこんな風に困惑したものだったなあ、と出逢った頃を懐かしく思い返していた。
まあ、あの頃はミクも今よりずっとウブだったから、流石にここまでの格好はしなかったのだが。結婚後だって落ち着きが出たからか、不意に突拍子もない姿で現れることはなかったのに(注※合意の上でのコスプレを除く)。
このまま無視してミクに膨れっ面をさせるのも面白いかと一瞬思ったけれど、後が色々と面倒になりそうなので、俺はとりあえず当り前の質問を口にした。
「……何? その格好」
俺を出迎えるためにドアの方へと歩いてきたミクは、頭に黒いネコ耳をつけていた。後頭部には大きな青いリボン、首には拳大の鈴がついた赤い首輪。手首までの白い手袋と白い二―ソックスには、頭につけたのと同じ色の小さなリボンが縫い付けられている。その他に身につけているのは仕事でおなじみのしまぱんだけで、しまぱんの尻の部分からは黒く細く長い尻尾がゆるいカーブを描いて垂れ下っていた。
それ以外は何も着ていない。手足と頭部の装備に比べて、胴体部分はまったく無防備だ。というか、パンツ一丁だ。
まあ、ボリュームのあるツインテールを前に垂らしているせいで、少年誌的配慮のごとく乳首はガードされている。されているが、とても人前に出せる姿ではない。この格好でPV撮影をするというなら、マスターのところへ殴りこみに行かなくてはならないレベルだ。
ミクは俺の質問に少しはにかんで、両手に持ったネギ(魔法少女仕様)をもじもじと揺らしながら、こう答えた。
「えっと……カイト兄とキスをして、街の平和を守る、例のアレです」
うん、知ってる。マジカルなんとかだ。他所のレンの、男気溢れる潔い仕事だ。他の家族が大笑いで鑑賞する中、レンだけが神妙な顔でその動画を見ていたのを思い出す。男ボカロの宿命は過酷だ。
しかし、何故ウチのミクがこんな格好をしているのだろう。
怪訝な顔をする俺に、ミクは尋ねてもいないことをペラペラと続けた。
「あ、本家はパンツはいてないけどねっ、でも、流石にパンツを履かずに尻尾を生やす勇気はなかったっていうか、そっち方面には踏み込みたくないっていうか、でも、お兄ちゃんがどうしてもっていうなら、考えなくもないけど、や、やっぱり、まだ無理かなあって」
すいません、この人何を口走ってるんでしょうか。本家の尻尾は、マジカルな力で皮膚から直接生えてるんじゃないかと思うんですが。
大体、俺だってそっち方面には踏み込みたくなんかない。踏み込んだ瞬間に、絶対ギブアンドテイクだって言われるに違いないから。ていうか、隙あらば指挿れようとするのやめてください、ホントに。
「で、尻尾はパンツに縫い付けてみたのですが、後は大体動画と同じだと思うんだけどな」
どう? とミクは小首を傾げる。
「どう? …って訊かれてもなあ……」
俺にはミクの意図が見えない。いや、表面的には解ってるし、期待されている行動は、可愛いとでも囁きながら押し倒すことだろうけど。しかし、これから押し倒すには、辺りが微妙な空気に満ちてしまっている。
俺が色よい返事をしないのを見て、ミクはおろおろと視線を彷徨わせはじめた。
「え……っと、お兄ちゃん、もしかして引いて……る?」
そう尋ねるミクの頬は、どんどん赤く染まっていく。自分一人がはしゃいでいるのが、急に恥ずかしくなったのだろう。
正直俺はネコ耳に興味ないし、狙いすぎたコスチュームよりは自然なチラリズムの方にぐっとくる性質なので、今夜のミクのいでたちに特に感じることはない。ないのだが、そんな衣装を身にまとって、いたたまれなそうに頬を染めているミクはたまらなく可愛いと思う。ああ本当に、ウチの奥さんはいつまで経っても面白い。
「とりあえず、話を聞こうか」
ニヤけそうになる頬を引き締め、真面目くさって尋ねると、ミクは俯き加減に「だって」と訴えた。
「三年目は危ないって聞いたんだもん」
「危ないって何が?」
その格好の方が危ないだろうと思いつつ訊き返すと、ミクはネギを握りしめて俺を真っ直ぐ見上げた。
「結婚生活は三年目が危ないって。倦怠期とか浮気とか、色々問題が噴き出してくるのが丁度その頃らしいよ。私達もそろそろ三年目だし……」
「まさか、俺の浮気を疑ってるわけじゃないよね?」
どこの主婦向けサイトを見てきたのかと呆れながら問うと、ミクは唇を尖らせて顔を背けた。
「ちょっと、ミク。ホントに俺を疑ってるの?」
「浮気してるとは思わないけどさ」
心外だ、という俺の台詞に、ミクは拗ねた声で答える。
「だって今日は土曜日なのに……お兄ちゃん出かけちゃうんだもん」
「確かに出かけたけど、浮気だなんだって話じゃないのは、ミクも知ってるじゃないか」
今日はマスターに頼まれて、他所のボカロと仕事をしてきただけだ。しかも相手は同じKAITOで、浮気もへったくれもない。
「仕事なのは解ってるし、邪魔しちゃいけないって思ってるよ。でもさ、貴重な週末だって言うのに、お兄ちゃんてばマスターの命令にハイハイ返事するし、出かける時もそっけなかったし、私といるより出かける方が楽しそうなんだもん」
ミクが口にしたのは、お馴染みの可愛らしいヤキモチだ。それはいつものことだけど着ている衣装は例のアレで、首を振るたびに喉元の鈴がカラコロ鳴る。その度にコスチュームに目が行って、日常感あふれるリビングとのギャップに、俺はついつい噴きそうになる。ここで笑ったらミクが更にヘソを曲げるだろうから、俺はさりげなく手を当てて緩む口元を隠した。
「それで一人で家にいたら、三年目のジンクスとか倦怠期の話とか色々思い出しちゃって、今のうちに打破しとかなくちゃって思ったから……」
「で、その格好?」
震えそうになる声を何とか抑えて尋ねると、ミクはコクンと頷いた。それに合わせて鈴がカランと鳴るのが、可笑しくて仕方ない。
「とにかく、それじゃあ風邪ひくよ」
俺はコートを脱いで、半裸のミクに着せかけた。笑いをこらえるには妙な衣装が見えない方がいいだろうという、思いやりには程遠い理由でそうしたのだけれど、コートに包まれたミクは真っ赤になってぶるぶると震えはじめた。
「い……いい! も…着替えてくるっ!」
そう叫んで逃げようとするミクを、俺は慌てて抱き込んだ。
「はなしてよ!」
「ちょっと、待てって。急に怒り出してどうしたの?」
内心面白がってるのがバレたのかと思いつつ引き止める俺の腕の中で、ミクは駄々をこねるようにもがく。
「怒ってない!」
そう答えたミクは、放せとジタバタしているけれど、ここで逃がす訳にはいかない。
「いや、怒ってるだろ、それは」
抗うのに構わずぎゅうぎゅう抱きしめていると、そのうちミクが大人しくなった。
「怒ってないもん。ただ恥ずかしくなっただけ。私ばっかりはしゃいで、バカみたいっ……!」
ミクは泣きそうな声でそう言った。
今日一日、一人で留守番しながらあれこれ考えを巡らせ、訪れてもいない夫婦の危機を回避すべく真剣に検討した結果がこれなのだろう。だからここはその真意を酌んで、ミクを慰めるべき場面なのだが。
鼻先にあるネコ耳が、ミクの震えに合わせてぴるぴると揺れている。
笑ってはいけないと思えば思うほど笑いの発作は激しくなるもので、今までずっと我慢していた俺は、ネコ耳の動きを引き金に、思わず、ぶはっ、と噴き出してしまった。
堰を切った笑いはすぐには収まらず、俺はその場に蹲って笑い転げた。拘束が外れたミクは逃げ出さずに、しゃがみ込む俺を上からポカポカと殴る。
「なんで笑うの!? ひどいよお兄ちゃん!」
笑いながら「ごめん」と謝ると、手加減されたゲンコツが一層振ってくる。
「もう! これでも真面目なんだからね!」
「わかってる。わかってるから」
俺は笑い過ぎて潤んだ目で、ミクを見上げる。
視線の先にいるミクは、半裸にコートというおかしな格好だ。その上ネコ耳ネコ尻尾で、顔を真っ赤にして涙目になっている。
「ミクは本当に可愛いね」
思ったことをそのまま口にすると、ミクは膨れっ面をしてネギを振り上げた。
「お兄ちゃん、バカにしてるでしょ?」
「してないよ。ホントに可愛い可愛い」
しゃがんだままで脳天をネギでかち割られてはたまらないと立ち上がった俺は、そう言ってミクの頭を撫でる。褒めているつもりなのに、ミクの頬はますます膨らんだ。
こんな表情をしてても可愛く見えるのだから、倦怠期などまだまだ先の話だと思うのだけど。
「倦怠期を心配するのは、週末ルールをきっちり守れるようになってからで十分だと思うんだけどね」
笑いながら指摘すると、ルール破りの常習犯は、だって、と反論する。
「お兄ちゃんがルール無視することって、あまりないじゃない。私はともかく、お兄ちゃんの方は飽きたりしてないか、不安になっちゃったんだもん」
「こんな面白い奥さんに飽きるなんて、何十年かかっても無理な気がするよ」
「面白い!?」
ムッとしたミクが反論に移る前に、俺は「ところで」と口を挟む。
「それ、変身を解くときにもキスする必要があるの?」
「え? 知らないけど……」
「じゃあ試してみようか」
きょとんとするミクに不意打ちでキスをした俺は、唇を重ねつつ頭のネコ耳を外す。
「ああ、変身解除にも効くみたいだよ」
「え」
こういう展開は予想してなかったのか、棒立ちになっているミクにもう一度キスをしつつ、今度は首輪を外す。ポイと床に放り投げると、鈴がカランと音を立てた。
「それじゃ向こうで、完全に変身を解こうか」
俺は返事を待たずにミクを抱き抱えて、寝室へと向かう。
なにせ今日は土曜日なのだし、拗ねた奥さんの機嫌を直すのも、無用な不安を払拭するのも、こうするのが手っ取り早い。
それに、まあ実のところ、浮気や心変わりを疑われたことに、ほんの少しだけ腹を立てていたりもする。
丁度いい機会だから、そんな心配はいらないのだと、きっちり教えておくのもいいだろう。
俺はコートに包まれたままきょときょとしているミクを抱え、寝室のドアを閉じたのだった。
兄さんとしては、どちらかというと、クイーンミクの格好をしてほしかったらしい。
(もう新婚じゃない気がするW)
ある日、外出先から戻って来ると
「お帰りにゃさい、お兄にゃん」
我が家のリビングに痴女がいた。
いや、痴女っていうか、ミクなんだけど。ついでに言えばこのミクは、結婚生活もそろそろ三年目に突入する、愛する我が妻だったりする。
俺はリビングの戸口からそんな彼女を見つめつつ、ああ、結婚前はよくこんな風に困惑したものだったなあ、と出逢った頃を懐かしく思い返していた。
まあ、あの頃はミクも今よりずっとウブだったから、流石にここまでの格好はしなかったのだが。結婚後だって落ち着きが出たからか、不意に突拍子もない姿で現れることはなかったのに(注※合意の上でのコスプレを除く)。
このまま無視してミクに膨れっ面をさせるのも面白いかと一瞬思ったけれど、後が色々と面倒になりそうなので、俺はとりあえず当り前の質問を口にした。
「……何? その格好」
俺を出迎えるためにドアの方へと歩いてきたミクは、頭に黒いネコ耳をつけていた。後頭部には大きな青いリボン、首には拳大の鈴がついた赤い首輪。手首までの白い手袋と白い二―ソックスには、頭につけたのと同じ色の小さなリボンが縫い付けられている。その他に身につけているのは仕事でおなじみのしまぱんだけで、しまぱんの尻の部分からは黒く細く長い尻尾がゆるいカーブを描いて垂れ下っていた。
それ以外は何も着ていない。手足と頭部の装備に比べて、胴体部分はまったく無防備だ。というか、パンツ一丁だ。
まあ、ボリュームのあるツインテールを前に垂らしているせいで、少年誌的配慮のごとく乳首はガードされている。されているが、とても人前に出せる姿ではない。この格好でPV撮影をするというなら、マスターのところへ殴りこみに行かなくてはならないレベルだ。
ミクは俺の質問に少しはにかんで、両手に持ったネギ(魔法少女仕様)をもじもじと揺らしながら、こう答えた。
「えっと……カイト兄とキスをして、街の平和を守る、例のアレです」
うん、知ってる。マジカルなんとかだ。他所のレンの、男気溢れる潔い仕事だ。他の家族が大笑いで鑑賞する中、レンだけが神妙な顔でその動画を見ていたのを思い出す。男ボカロの宿命は過酷だ。
しかし、何故ウチのミクがこんな格好をしているのだろう。
怪訝な顔をする俺に、ミクは尋ねてもいないことをペラペラと続けた。
「あ、本家はパンツはいてないけどねっ、でも、流石にパンツを履かずに尻尾を生やす勇気はなかったっていうか、そっち方面には踏み込みたくないっていうか、でも、お兄ちゃんがどうしてもっていうなら、考えなくもないけど、や、やっぱり、まだ無理かなあって」
すいません、この人何を口走ってるんでしょうか。本家の尻尾は、マジカルな力で皮膚から直接生えてるんじゃないかと思うんですが。
大体、俺だってそっち方面には踏み込みたくなんかない。踏み込んだ瞬間に、絶対ギブアンドテイクだって言われるに違いないから。ていうか、隙あらば指挿れようとするのやめてください、ホントに。
「で、尻尾はパンツに縫い付けてみたのですが、後は大体動画と同じだと思うんだけどな」
どう? とミクは小首を傾げる。
「どう? …って訊かれてもなあ……」
俺にはミクの意図が見えない。いや、表面的には解ってるし、期待されている行動は、可愛いとでも囁きながら押し倒すことだろうけど。しかし、これから押し倒すには、辺りが微妙な空気に満ちてしまっている。
俺が色よい返事をしないのを見て、ミクはおろおろと視線を彷徨わせはじめた。
「え……っと、お兄ちゃん、もしかして引いて……る?」
そう尋ねるミクの頬は、どんどん赤く染まっていく。自分一人がはしゃいでいるのが、急に恥ずかしくなったのだろう。
正直俺はネコ耳に興味ないし、狙いすぎたコスチュームよりは自然なチラリズムの方にぐっとくる性質なので、今夜のミクのいでたちに特に感じることはない。ないのだが、そんな衣装を身にまとって、いたたまれなそうに頬を染めているミクはたまらなく可愛いと思う。ああ本当に、ウチの奥さんはいつまで経っても面白い。
「とりあえず、話を聞こうか」
ニヤけそうになる頬を引き締め、真面目くさって尋ねると、ミクは俯き加減に「だって」と訴えた。
「三年目は危ないって聞いたんだもん」
「危ないって何が?」
その格好の方が危ないだろうと思いつつ訊き返すと、ミクはネギを握りしめて俺を真っ直ぐ見上げた。
「結婚生活は三年目が危ないって。倦怠期とか浮気とか、色々問題が噴き出してくるのが丁度その頃らしいよ。私達もそろそろ三年目だし……」
「まさか、俺の浮気を疑ってるわけじゃないよね?」
どこの主婦向けサイトを見てきたのかと呆れながら問うと、ミクは唇を尖らせて顔を背けた。
「ちょっと、ミク。ホントに俺を疑ってるの?」
「浮気してるとは思わないけどさ」
心外だ、という俺の台詞に、ミクは拗ねた声で答える。
「だって今日は土曜日なのに……お兄ちゃん出かけちゃうんだもん」
「確かに出かけたけど、浮気だなんだって話じゃないのは、ミクも知ってるじゃないか」
今日はマスターに頼まれて、他所のボカロと仕事をしてきただけだ。しかも相手は同じKAITOで、浮気もへったくれもない。
「仕事なのは解ってるし、邪魔しちゃいけないって思ってるよ。でもさ、貴重な週末だって言うのに、お兄ちゃんてばマスターの命令にハイハイ返事するし、出かける時もそっけなかったし、私といるより出かける方が楽しそうなんだもん」
ミクが口にしたのは、お馴染みの可愛らしいヤキモチだ。それはいつものことだけど着ている衣装は例のアレで、首を振るたびに喉元の鈴がカラコロ鳴る。その度にコスチュームに目が行って、日常感あふれるリビングとのギャップに、俺はついつい噴きそうになる。ここで笑ったらミクが更にヘソを曲げるだろうから、俺はさりげなく手を当てて緩む口元を隠した。
「それで一人で家にいたら、三年目のジンクスとか倦怠期の話とか色々思い出しちゃって、今のうちに打破しとかなくちゃって思ったから……」
「で、その格好?」
震えそうになる声を何とか抑えて尋ねると、ミクはコクンと頷いた。それに合わせて鈴がカランと鳴るのが、可笑しくて仕方ない。
「とにかく、それじゃあ風邪ひくよ」
俺はコートを脱いで、半裸のミクに着せかけた。笑いをこらえるには妙な衣装が見えない方がいいだろうという、思いやりには程遠い理由でそうしたのだけれど、コートに包まれたミクは真っ赤になってぶるぶると震えはじめた。
「い……いい! も…着替えてくるっ!」
そう叫んで逃げようとするミクを、俺は慌てて抱き込んだ。
「はなしてよ!」
「ちょっと、待てって。急に怒り出してどうしたの?」
内心面白がってるのがバレたのかと思いつつ引き止める俺の腕の中で、ミクは駄々をこねるようにもがく。
「怒ってない!」
そう答えたミクは、放せとジタバタしているけれど、ここで逃がす訳にはいかない。
「いや、怒ってるだろ、それは」
抗うのに構わずぎゅうぎゅう抱きしめていると、そのうちミクが大人しくなった。
「怒ってないもん。ただ恥ずかしくなっただけ。私ばっかりはしゃいで、バカみたいっ……!」
ミクは泣きそうな声でそう言った。
今日一日、一人で留守番しながらあれこれ考えを巡らせ、訪れてもいない夫婦の危機を回避すべく真剣に検討した結果がこれなのだろう。だからここはその真意を酌んで、ミクを慰めるべき場面なのだが。
鼻先にあるネコ耳が、ミクの震えに合わせてぴるぴると揺れている。
笑ってはいけないと思えば思うほど笑いの発作は激しくなるもので、今までずっと我慢していた俺は、ネコ耳の動きを引き金に、思わず、ぶはっ、と噴き出してしまった。
堰を切った笑いはすぐには収まらず、俺はその場に蹲って笑い転げた。拘束が外れたミクは逃げ出さずに、しゃがみ込む俺を上からポカポカと殴る。
「なんで笑うの!? ひどいよお兄ちゃん!」
笑いながら「ごめん」と謝ると、手加減されたゲンコツが一層振ってくる。
「もう! これでも真面目なんだからね!」
「わかってる。わかってるから」
俺は笑い過ぎて潤んだ目で、ミクを見上げる。
視線の先にいるミクは、半裸にコートというおかしな格好だ。その上ネコ耳ネコ尻尾で、顔を真っ赤にして涙目になっている。
「ミクは本当に可愛いね」
思ったことをそのまま口にすると、ミクは膨れっ面をしてネギを振り上げた。
「お兄ちゃん、バカにしてるでしょ?」
「してないよ。ホントに可愛い可愛い」
しゃがんだままで脳天をネギでかち割られてはたまらないと立ち上がった俺は、そう言ってミクの頭を撫でる。褒めているつもりなのに、ミクの頬はますます膨らんだ。
こんな表情をしてても可愛く見えるのだから、倦怠期などまだまだ先の話だと思うのだけど。
「倦怠期を心配するのは、週末ルールをきっちり守れるようになってからで十分だと思うんだけどね」
笑いながら指摘すると、ルール破りの常習犯は、だって、と反論する。
「お兄ちゃんがルール無視することって、あまりないじゃない。私はともかく、お兄ちゃんの方は飽きたりしてないか、不安になっちゃったんだもん」
「こんな面白い奥さんに飽きるなんて、何十年かかっても無理な気がするよ」
「面白い!?」
ムッとしたミクが反論に移る前に、俺は「ところで」と口を挟む。
「それ、変身を解くときにもキスする必要があるの?」
「え? 知らないけど……」
「じゃあ試してみようか」
きょとんとするミクに不意打ちでキスをした俺は、唇を重ねつつ頭のネコ耳を外す。
「ああ、変身解除にも効くみたいだよ」
「え」
こういう展開は予想してなかったのか、棒立ちになっているミクにもう一度キスをしつつ、今度は首輪を外す。ポイと床に放り投げると、鈴がカランと音を立てた。
「それじゃ向こうで、完全に変身を解こうか」
俺は返事を待たずにミクを抱き抱えて、寝室へと向かう。
なにせ今日は土曜日なのだし、拗ねた奥さんの機嫌を直すのも、無用な不安を払拭するのも、こうするのが手っ取り早い。
それに、まあ実のところ、浮気や心変わりを疑われたことに、ほんの少しだけ腹を立てていたりもする。
丁度いい機会だから、そんな心配はいらないのだと、きっちり教えておくのもいいだろう。
俺はコートに包まれたままきょときょとしているミクを抱え、寝室のドアを閉じたのだった。
兄さんとしては、どちらかというと、クイーンミクの格好をしてほしかったらしい。
- | 2010-02-06 22:04
- | 小説(短編)
- |
2010年02月06日
には、見事敗北しましたよ……。
兄さんの愛人が増えるのは6月以降になりそうです。
そういやパパが碧眼なんだからパパので撮ればいいじゃないと、今頃気づいた。
兄さんの愛人が増えるのは6月以降になりそうです。
そういやパパが碧眼なんだからパパので撮ればいいじゃないと、今頃気づいた。
- | 2010-02-06 00:22
- | ねんどろ
- |
2010年02月02日
二人の娘っぽくしようと、早速色々組み合わせてみましたよ。
撮影技術のせいで、髪の色の違いがよく解らないですが、…………諦めてください。

髪→サイハテミク・顔→ぷちミク・胴→雪ミク・手足スカート→DIVAミク
青い目にしたかったんですが、ぷちの髪は加工しないとDIVAミクにつけられないそうなので断念。
それなりにカイミク夫婦の娘っぽくなってるでしょうか?

髪より目の色を優先させると、こんな感じ。
雪ミクの顔にDIVAミクの髪。後は↑と一緒。

髪だけDIVAミクで、後は雪ミク。
メタリックな方が兄さんのコートとおそろいっぽくて良かったかと、ここで後悔したものの、
また一からやり直すのはめんどくさいので、このまま続行。

ただのぷち雪ミクさん。
……これが一番娘っぽいような気もしてきたw
この時の少女が、後に愛人その2の娘として姿を現すとは、夢にも思わないミクだった(昼のドラマっぽいナレーションで)。
ぷちじゃない方の雪ミクも欲しいなあ。
2月のカレンダーはサンド○ヨンですよ。

髪→サイハテミク・顔→ぷちミク・胴→雪ミク・手足スカート→DIVAミク
青い目にしたかったんですが、ぷちの髪は加工しないとDIVAミクにつけられないそうなので断念。
それなりにカイミク夫婦の娘っぽくなってるでしょうか?

髪より目の色を優先させると、こんな感じ。
雪ミクの顔にDIVAミクの髪。後は↑と一緒。

髪だけDIVAミクで、後は雪ミク。
メタリックな方が兄さんのコートとおそろいっぽくて良かったかと、ここで後悔したものの、
また一からやり直すのはめんどくさいので、このまま続行。

ただのぷち雪ミクさん。
……これが一番娘っぽいような気もしてきたw
この時の少女が、後に愛人その2の娘として姿を現すとは、夢にも思わないミクだった(昼のドラマっぽいナレーションで)。
ぷちじゃない方の雪ミクも欲しいなあ。
2月のカレンダーはサンド○ヨンですよ。
- | 2010-02-02 23:11
- | ねんどろ
- |
2010年02月02日
スルーしているのは、忘れているからじゃない。
遠回しに、「兄さんの誕生日もスルーするよ!」と訴えているんだ!!

そういや(2/3追記)
遠回しに、「兄さんの誕生日もスルーするよ!」と訴えているんだ!!


そういや(2/3追記)
去年途中まで書いて放置した話があった。
バレンタインデーを目前にして、彼女と別れた。
同僚である彼女と付き合い始めて一年半。週末にはアパートに泊まりに来る半同棲状態で、このままいけば結婚することになるのだろうと、ぼんやりと思い描いていた相手だった。そろそろ家族に紹介するかと、当人と相談もせずに考えていた矢先のことだった。
俺にしてみたら突然の別れ話なのだけれど、彼女の方は前々から決めていたようだ。別れようと切り出された時には、部屋にあった彼女の私物はきれいさっぱり持ち去られた後だった。
──カイトのことが嫌いになった訳じゃないの。でも、貴方との将来がどうしても思い描けない。
どうして、と尋ねる俺に、彼女はそんな風に答えた。
振り返れば年末から会う機会も泊まっていく回数も減っていたけれど、何かと忙しいのだろうと俺は暢気に構えていた。つまり、俺には彼女の気持ちなど、全く解っていなかったのだ。
荷物をとっくに運び出して、別れることを決定事項として話している彼女を引き止める気にはなれず、俺は彼女との別れを抗うことなく受け入れた。
同じ職場というのは厄介なもので、別れたという噂が広まった後に、知りたくもなかった話を散々聞かされる羽目になった。
なんでも彼女は俺と付き合う直前に恋人と別れていたらしく、その原因は彼の海外赴任だったそうだ。その男が年末に帰って来てよりを戻してしまい、彼女は俺との関係を清算したかったらしい。
早い話が、俺は本命がいない間の寂しさを埋める、都合のいい男だった訳だ。
今更そんな話を親切ぶって教える同僚の声を聞きながら、俺は複雑な心境にあった。
確かに彼女に別れ話を切り出された時はショックだったし、身勝手さに多少腹だって立った。だが俺は、彼女を失いたくないとは思わなかった。
この期に及んでやっと、俺は彼女を愛してはいなかったことに気付いた。朧げに結婚まで考えていた相手なのに、俺は付き合い始めた時からの惰性で、彼女と一緒にいただけだった。
フラれたことではなく自分のそんな本心に、俺はショックを受けていた。
──俺はいつまであの子のことを引きずっているのだろう。
愛する人と言われて真っ先に思い浮かぶのは、遠い日の少女の面影だ。
付き合うどころか告白すらできなかった、知り合い以上の呼び名はつけられない相手が、今も俺の胸の一番奥に、温かな切なさとともに住み続けている。
いつものようにつけたラジオで、女性パーソナリティのしっとりとした声がヒット曲を紹介している。
忘れられないのは、こうしてふとした瞬間にその歌声を耳にするからだろうか。
ラジオから流れて来たあの子の歌が、今夜はやけに胸にしみた。
それは劇的な別れではなく、移りゆく時に抗えず静かに終わる初恋を歌った、彼女の新曲だった。
その歌詞が、胸に燻り続ける想いと重なったせいかもしれない。
一年半の恋人が去った喪失感が、それなりにあったせいかもしれない。
弱いくせに飲んだ酒に酔ったせいかもしれないし、ラジオから流れるパーソナリティの声がやけに優しかったせいかもしれない。
気がつくと俺はパソコンの前に座り、番組あてに愚痴めいたメールを書いていた。
“こんばんは、ルカさん。
バレンタインも間近なのに、恋人と別れてしまいました。
でも実は彼女と別れたことよりも、まだ初恋の相手を忘れられない自分に気づいてショックを受けたのです。
僕は高校時代に大好きだった子がいました。今でも誰かを好きになるときは、相手の中にその子に似た部分を探してしまいます。
もしかしたら彼女と上手くいかなかったのも、そのせいだったかもしれません。
ルカさん、いつまでも初恋を引きずっている僕は、おかしいのでしょうか?
昔、あの子とよく聴いたこの曲をリクエストします。”
勢いで送信してから少し後悔したけれど、酔っ払いの戯言など無視されるにちがいない。
くだらないメールを書いているうちに、ラジオは次の曲を流していた。
切なげなバラードに耳を傾けながら、俺は遠い日々に思いを馳せていた。
あの子と出逢ったのは、高三の春のことだった。
幼馴染のメイコに「男子部員が足りないから」とコーラス部に引きずり込まれてから二年、気づけば俺は何故か部長の座に収まっていた。部長といっても十人程度の弱小部で、決定権と財布の紐は副部長であるメイコが握っていたから、名ばかりの雑用係だ。しかもその時点では先輩達が卒業して、三年生二名、二年生三名の風前の灯状態の部だった。
そのコーラス部の戸を叩いたのが、新入生だった彼女――初音ミクだ。
元気がよさそうな友達の背中に隠れるようにしておずおずと現れたのが、彼女を見た最初だった。いかにも友達につきあわされてという風情だったのに、入部したいと言ったのは後ろにいた彼女の方だった。
「歌が好きなんですっ!」
頭を下げながら入部届けを差し出す新入生に苦笑しつつ「提出先は顧問だよ」と教えると、彼女は可哀想なくらいに真っ赤になった。
「地味な割に練習だけはハードな部だけどね。それでもよければ歓迎するよ」
赤くなったまま言葉を詰まらせる彼女に俺がそう言うと、背後から後頭部を平手ではたかれた。振り返らなくても誰が叩いたのかすぐ解った。
「折角来た新入部員に、マイナス要素話してどうすんの」
「だって、めーこ。部紹介のときに活動内容を話してないんだから、今のうち説明しておかないとフェアじゃないよ」
俺は後頭部をさすりながら、陰の部長である幼馴染に言い返した。
活動日や活動内容は、本来新入生相手の部紹介の時間にちゃんと説明するものなのだけれど、そんな当たり前の内容はメイコに即座に却下された。
――ぐだぐだ説明したところで誰も聞かないって。いい? カイト。ここで一年生を獲得できないと、私達の引退と同時に部から愛好会へ降格なのよ? 解ってんの?
それにはまずインパクトだと体育館のステージに立った俺とメイコは、部活の説明は一切せずに持ち時間いっぱい二人で歌い、最後に「コーラス部は皆さんを待ってます」とだけ付け足して部紹介を終わりにしてしまった。
だから何も知らずにやって来た新入生に事前説明をするなら今なのだが、メイコは俺を無視して一年生に微笑みかけた。
「ようこそ、コーラス部へ。コイツが妙なこと言ったけど、全然そんなことないからね? えっと、歌が好きなのよね。それなら練習も、ちっとも苦にならないから」
二年前の俺は「声が出てない!」と腹にパンチを喰らった気がするのだけれど、まあ、いくらメイコでも、いたいけな一年女子にそんな暴挙は振るわないだろう。
何も知らない新入生は、メイコの言葉に大きく頷いて言った。
「はい、あの…っ、先輩達の歌、すごく素敵でした!」
メイコの作戦は、少なくとも一人には通じたようだ。
ちなみに一緒にいたもう一人は単なる付き添いで、友達が無事入部できたのを見届けると勧誘する間も与えず帰ってしまった。
「じゃあ、これは私が先生のとこに持って行ってあげるわ」
メイコは彼女の手から入部届を取り上げて、教室から出て行った。
それを口実にして先生に会いたいのだろうと、幼馴染の背中を見送りつつ俺は口元を緩めた。メイコは二年の時から、顧問の教師と密かにつき合っていた。
気づけば教室には俺と彼女の二人きりだった。突っ立ったままの彼女に座るよう促して、メイコが帰って来るまでの時間つぶしにコーラス部の説明を始めた。
活動日は週に三日だけど、残りの二日も自主的に練習したい者は活動していること。今日は活動日じゃないから二人しかいないけど、普段はあと三人二年生がいること。音楽室はブラスバンド部が使っているから、コーラス部の活動場所はこの多目的教室だということ。夏休みに校外で合宿をすること。当面は九月の文化祭に向けて練習すること。三年は文化祭が終わったら引退すること。
「先輩、秋で引退しちゃうんですか?」
「うん、まあ、受験生だからね」
俺の答えに、彼女は表情を曇らせた。
「それじゃあ、先輩とは半年も歌えないんですね。残念だなあ……折角好きになったのに」
え? と瞬きを返す俺に、彼女はあたふたと手を振った。
「う、歌のことですよ? 部紹介のときの先輩達の歌、聴き惚れちゃいました」
「ありがとう。そう言って貰えると嬉しいよ」
少し照れながら答えると、彼女も照れくさそうにはにかんだ。
「九月までだけどね、一緒に歌う機会は沢山あるから。初音さんはどんな歌が好きなの?」
場をもたせるためにした質問に彼女は少し考えてから、「知らないかもしれませんけど」と断ってとあるアーティストの名前を挙げた。それは確かに有名ではなかったけれど、民族音楽風のメロディと力強い声が印象的な、知る人ぞ知る歌い手だった。
「知ってるよ。俺もその歌好きなんだ」
「ホントですか?」
ぱあっと顔を輝かせた彼女は、同じアーティストの他の曲を次々と挙げていった。その選曲は俺の好みと一致していて、二人の会話は大いに盛り上がった。好きな歌手がマイナーな分、身近なところに同志がいたことが嬉しくて、俺は今日知り合ったばかりの女子と二人きりになった気まずさも忘れて喋りつづけ、彼女も負けないくらい語り倒した。
随分と時間をかけて入部届を渡してきたメイコが戻ってきたときには、辺りは暗くなり始めていた。それなのに照明をつけることすら忘れて話し込んでいた俺達に、メイコは呆れ顔をしたのだった。
家が隣同士で嫌でも帰り道が一緒になってしまう俺とメイコに、彼女も加わって三人で帰った。三人とも電車通学で、彼女は俺達より二つ学校寄りの駅を利用していた。
「先輩達と一緒に歌うのが楽しみです。これからよろしくお願いします」
降りる前に彼女はペコリと頭を下げて、そう言った。閉じたドアの向こう側で躊躇いがちに手を振る彼女へ、俺は名残惜しさを感じながら手を振り返した。
その時はまだ、彼女に対して特に強い感情を抱いてはいなかった。可愛い子だとは思ったけれど、気の合う後輩ができて良かったという程度にしか考えていなかったように思う。
メイコの作戦が通じたのは結局彼女一人だけで、顧問が担任をしていたクラスからあと四人引っ張って来て、その年のコーラス部は始まった。
他の四人が同じクラスで固まっていたからか、彼女は一年とではなく俺達三年と一緒にいることが多かった。最後に教室を片付けてから俺とメイコと彼女の三人で帰るのが、いつの間にか当たり前になっていた。
彼女は活動日以外にもよく顔を出して、一人でも歌の練習をしていた。最初に本人が言った通り、彼女は本当に歌が好きだった。よく知られた童謡からマイナーな曲まで、大切に、楽しそうに歌っていた。俺はそんな彼女の傍らで、さして上手くもないギターで伴奏をつけたり、メイコも加えて三人で声を合わせて歌ったりしていた。
同じ時間を過ごしながら、彼女の歌に対する真摯さや、真面目で優しい人柄に触れるうちに、俺は次第に彼女に惹かれていった。メイコに強引に引きずり込まれ、なんとなく続けていた部活が、何よりも幸せな時間に変わった。放課後のがらんとした教室に来て、彼女の笑顔と出会うのが、一日の一番の楽しみになった。彼女に会えない週末は味気なくて、早く過ぎろと願ったくらいだった。
いつしか呼び名は「初音さん」から「ミクちゃん」に変わった。俺とメイコが名前で呼び合っているせいか、後輩達も俺達のことを名字ではなく下の名前で呼んでいた。
「私はカイト先輩って呼んでるのに、先輩が『初音さん』って呼ぶのは何だか変です」
「だからミクでいいです」と彼女に言われ、その名を口にした時の緊張と喜びは今でも鮮明に覚えているほどだ。
それなのに俺は、その想いを彼女に伝えられなかった。
いっそ一目惚れなら、話は簡単だっただろう。勢いのままに告白して、玉砕によって踏ん切りをつけることもできただろうから。
俺が恋心を自覚したのは、彼女との間に穏やかで心地いい関係が築かれた後だった。気持ちを打ち明けることによって、彼女と歌う優しい時間まで失うことを俺は恐れたのだ。
それに彼女の方は、俺に特別な好意など抱いてはいないようだった。教室で俺と二人きりになる度何だか緊張していたし、帰り道での彼女の位置だって、いつもメイコを挟んだ反対側だった。おまけに何を勘違いしたのか、メイコとお似合いだと冷やかされたことさえあった。メイコと二人で口を揃えて「ただの幼馴染みだ」と言っても、ホントですか? と疑いながらニコニコと笑っていた。
彼女にとっての俺は、単なる先輩でしかなかった。
でも、先輩としてある程度は頼りにされていたのだろう、彼女は放課後の練習の合間に、歌手になりたいという夢を俺に教えてくれた。いつか東京に出て、ちゃんと歌の勉強がしたいと言っていた。
彼女の夢を聞いた俺は、「きっとなれるよ」と頷いた。無責任な励ましではなく、心からそう思ったからだ。彼女は特に天才的な音感や声量があった訳ではないけれど、その歌声は耳に心地よかったし、何より歌を愛し、歌に想いを込める能力に長けていた。歌への愛情をなくさない限り、彼女が夢を叶えることは不可能ではないと思えた。
「カイト先輩にそう言ってもらえると、なんだか勇気が湧いてきます」
俺の言葉に、彼女は嬉しげに微笑んだ。
その笑顔を見ながら俺は、まだ迷っていた志望校のうち、都内の大学を第一志望に決めていた。いつか東京に出てくる彼女の側にいられたらと、そう思った。
恋心を秘めたまま、彼女との穏やかな関係は続いていた。だがそれは部活を引退する九月までのこと。半年足らずの限られた生活は瞬く間に過ぎ、その短い間に俺は彼女との時間を積み重ね、想いを募らせていった。
夏休みが過ぎても俺達は単なる先輩と後輩のままで、特筆できることと言ったら誕生日プレゼントを渡したくらいだ。八月の最後に生まれた彼女は、文化祭が近かったためその日も練習に来ていて、呼び出さずとも自然と会えた。
プレゼントとして渡したのは、自分の好きな曲を集めて作ったCDだった。アクセサリーや小物も考えたけれど、ただの先輩から貰うには抵抗があるかもしれない。さりげなく渡せるものをと考えて、選んだ品だった。
生まれる前に流行った曲からマイナーな洋楽まで、ジャンルを無視した統一感のないその一枚を、彼女は意外にも気に入ってくれた。次の日顔を合わせた彼女は早速感想を聞かせてくれて、その中でも一世代前のとある歌謡曲が好きだと言った。
「お父さんが聴くような歌だからつい避けてたけど、今聴いても良い曲ですよね、これ」
歌い手がかつてのアイドルだったため、高校生である友人達とはおおっぴらに語る気になれないその歌を、俺と彼女は二人だけの秘密のようにこっそり聴いて、時折一緒に口ずさんだ。
タイムリミットが迫る中、俺は一つの決心をした。
──文化祭が終わったら、彼女に告白しよう。
その日が過ぎたら、今までのように彼女と顔を合わせる機会はなくなってしまう。
告白が上手くいけばこれからも彼女と一緒にいられるし、もし駄目だったとしても部活にごたごたを持ち込んで気まずくなる心配はない――と、そんな狡い計算を頭のどこかでしていた気もする。
ちょうどその頃、彼女と親しくなるきっかけになったアーティストのツアーが数年ぶりに予定され、その開催地に俺達の地元が含まれることを知った。そんなニュースすら俺の恋を後押ししてくれているような気がして、自分が受験生だということも忘れ、二ヶ月先のコンサートのチケットを二枚取った。
二人で一緒にあの始まりの歌を聴けるよう祈りつつ、そのチケットをお守りのようにバッグに忍ばせて、俺は文化祭の準備に奔走した。
例え古ぼけた体育館のステージだとしても、それは彼女と共に立てる最初で最後の晴れ舞台だった。だから
ここまで書いて、この青春は嘘くさいと思ってしまった帰宅部出身者。
書きたかったのは、誕生日直前にふられる兄さんだったかもしれない。
バレンタインデーを目前にして、彼女と別れた。
同僚である彼女と付き合い始めて一年半。週末にはアパートに泊まりに来る半同棲状態で、このままいけば結婚することになるのだろうと、ぼんやりと思い描いていた相手だった。そろそろ家族に紹介するかと、当人と相談もせずに考えていた矢先のことだった。
俺にしてみたら突然の別れ話なのだけれど、彼女の方は前々から決めていたようだ。別れようと切り出された時には、部屋にあった彼女の私物はきれいさっぱり持ち去られた後だった。
──カイトのことが嫌いになった訳じゃないの。でも、貴方との将来がどうしても思い描けない。
どうして、と尋ねる俺に、彼女はそんな風に答えた。
振り返れば年末から会う機会も泊まっていく回数も減っていたけれど、何かと忙しいのだろうと俺は暢気に構えていた。つまり、俺には彼女の気持ちなど、全く解っていなかったのだ。
荷物をとっくに運び出して、別れることを決定事項として話している彼女を引き止める気にはなれず、俺は彼女との別れを抗うことなく受け入れた。
同じ職場というのは厄介なもので、別れたという噂が広まった後に、知りたくもなかった話を散々聞かされる羽目になった。
なんでも彼女は俺と付き合う直前に恋人と別れていたらしく、その原因は彼の海外赴任だったそうだ。その男が年末に帰って来てよりを戻してしまい、彼女は俺との関係を清算したかったらしい。
早い話が、俺は本命がいない間の寂しさを埋める、都合のいい男だった訳だ。
今更そんな話を親切ぶって教える同僚の声を聞きながら、俺は複雑な心境にあった。
確かに彼女に別れ話を切り出された時はショックだったし、身勝手さに多少腹だって立った。だが俺は、彼女を失いたくないとは思わなかった。
この期に及んでやっと、俺は彼女を愛してはいなかったことに気付いた。朧げに結婚まで考えていた相手なのに、俺は付き合い始めた時からの惰性で、彼女と一緒にいただけだった。
フラれたことではなく自分のそんな本心に、俺はショックを受けていた。
──俺はいつまであの子のことを引きずっているのだろう。
愛する人と言われて真っ先に思い浮かぶのは、遠い日の少女の面影だ。
付き合うどころか告白すらできなかった、知り合い以上の呼び名はつけられない相手が、今も俺の胸の一番奥に、温かな切なさとともに住み続けている。
いつものようにつけたラジオで、女性パーソナリティのしっとりとした声がヒット曲を紹介している。
忘れられないのは、こうしてふとした瞬間にその歌声を耳にするからだろうか。
ラジオから流れて来たあの子の歌が、今夜はやけに胸にしみた。
それは劇的な別れではなく、移りゆく時に抗えず静かに終わる初恋を歌った、彼女の新曲だった。
その歌詞が、胸に燻り続ける想いと重なったせいかもしれない。
一年半の恋人が去った喪失感が、それなりにあったせいかもしれない。
弱いくせに飲んだ酒に酔ったせいかもしれないし、ラジオから流れるパーソナリティの声がやけに優しかったせいかもしれない。
気がつくと俺はパソコンの前に座り、番組あてに愚痴めいたメールを書いていた。
“こんばんは、ルカさん。
バレンタインも間近なのに、恋人と別れてしまいました。
でも実は彼女と別れたことよりも、まだ初恋の相手を忘れられない自分に気づいてショックを受けたのです。
僕は高校時代に大好きだった子がいました。今でも誰かを好きになるときは、相手の中にその子に似た部分を探してしまいます。
もしかしたら彼女と上手くいかなかったのも、そのせいだったかもしれません。
ルカさん、いつまでも初恋を引きずっている僕は、おかしいのでしょうか?
昔、あの子とよく聴いたこの曲をリクエストします。”
勢いで送信してから少し後悔したけれど、酔っ払いの戯言など無視されるにちがいない。
くだらないメールを書いているうちに、ラジオは次の曲を流していた。
切なげなバラードに耳を傾けながら、俺は遠い日々に思いを馳せていた。
あの子と出逢ったのは、高三の春のことだった。
幼馴染のメイコに「男子部員が足りないから」とコーラス部に引きずり込まれてから二年、気づけば俺は何故か部長の座に収まっていた。部長といっても十人程度の弱小部で、決定権と財布の紐は副部長であるメイコが握っていたから、名ばかりの雑用係だ。しかもその時点では先輩達が卒業して、三年生二名、二年生三名の風前の灯状態の部だった。
そのコーラス部の戸を叩いたのが、新入生だった彼女――初音ミクだ。
元気がよさそうな友達の背中に隠れるようにしておずおずと現れたのが、彼女を見た最初だった。いかにも友達につきあわされてという風情だったのに、入部したいと言ったのは後ろにいた彼女の方だった。
「歌が好きなんですっ!」
頭を下げながら入部届けを差し出す新入生に苦笑しつつ「提出先は顧問だよ」と教えると、彼女は可哀想なくらいに真っ赤になった。
「地味な割に練習だけはハードな部だけどね。それでもよければ歓迎するよ」
赤くなったまま言葉を詰まらせる彼女に俺がそう言うと、背後から後頭部を平手ではたかれた。振り返らなくても誰が叩いたのかすぐ解った。
「折角来た新入部員に、マイナス要素話してどうすんの」
「だって、めーこ。部紹介のときに活動内容を話してないんだから、今のうち説明しておかないとフェアじゃないよ」
俺は後頭部をさすりながら、陰の部長である幼馴染に言い返した。
活動日や活動内容は、本来新入生相手の部紹介の時間にちゃんと説明するものなのだけれど、そんな当たり前の内容はメイコに即座に却下された。
――ぐだぐだ説明したところで誰も聞かないって。いい? カイト。ここで一年生を獲得できないと、私達の引退と同時に部から愛好会へ降格なのよ? 解ってんの?
それにはまずインパクトだと体育館のステージに立った俺とメイコは、部活の説明は一切せずに持ち時間いっぱい二人で歌い、最後に「コーラス部は皆さんを待ってます」とだけ付け足して部紹介を終わりにしてしまった。
だから何も知らずにやって来た新入生に事前説明をするなら今なのだが、メイコは俺を無視して一年生に微笑みかけた。
「ようこそ、コーラス部へ。コイツが妙なこと言ったけど、全然そんなことないからね? えっと、歌が好きなのよね。それなら練習も、ちっとも苦にならないから」
二年前の俺は「声が出てない!」と腹にパンチを喰らった気がするのだけれど、まあ、いくらメイコでも、いたいけな一年女子にそんな暴挙は振るわないだろう。
何も知らない新入生は、メイコの言葉に大きく頷いて言った。
「はい、あの…っ、先輩達の歌、すごく素敵でした!」
メイコの作戦は、少なくとも一人には通じたようだ。
ちなみに一緒にいたもう一人は単なる付き添いで、友達が無事入部できたのを見届けると勧誘する間も与えず帰ってしまった。
「じゃあ、これは私が先生のとこに持って行ってあげるわ」
メイコは彼女の手から入部届を取り上げて、教室から出て行った。
それを口実にして先生に会いたいのだろうと、幼馴染の背中を見送りつつ俺は口元を緩めた。メイコは二年の時から、顧問の教師と密かにつき合っていた。
気づけば教室には俺と彼女の二人きりだった。突っ立ったままの彼女に座るよう促して、メイコが帰って来るまでの時間つぶしにコーラス部の説明を始めた。
活動日は週に三日だけど、残りの二日も自主的に練習したい者は活動していること。今日は活動日じゃないから二人しかいないけど、普段はあと三人二年生がいること。音楽室はブラスバンド部が使っているから、コーラス部の活動場所はこの多目的教室だということ。夏休みに校外で合宿をすること。当面は九月の文化祭に向けて練習すること。三年は文化祭が終わったら引退すること。
「先輩、秋で引退しちゃうんですか?」
「うん、まあ、受験生だからね」
俺の答えに、彼女は表情を曇らせた。
「それじゃあ、先輩とは半年も歌えないんですね。残念だなあ……折角好きになったのに」
え? と瞬きを返す俺に、彼女はあたふたと手を振った。
「う、歌のことですよ? 部紹介のときの先輩達の歌、聴き惚れちゃいました」
「ありがとう。そう言って貰えると嬉しいよ」
少し照れながら答えると、彼女も照れくさそうにはにかんだ。
「九月までだけどね、一緒に歌う機会は沢山あるから。初音さんはどんな歌が好きなの?」
場をもたせるためにした質問に彼女は少し考えてから、「知らないかもしれませんけど」と断ってとあるアーティストの名前を挙げた。それは確かに有名ではなかったけれど、民族音楽風のメロディと力強い声が印象的な、知る人ぞ知る歌い手だった。
「知ってるよ。俺もその歌好きなんだ」
「ホントですか?」
ぱあっと顔を輝かせた彼女は、同じアーティストの他の曲を次々と挙げていった。その選曲は俺の好みと一致していて、二人の会話は大いに盛り上がった。好きな歌手がマイナーな分、身近なところに同志がいたことが嬉しくて、俺は今日知り合ったばかりの女子と二人きりになった気まずさも忘れて喋りつづけ、彼女も負けないくらい語り倒した。
随分と時間をかけて入部届を渡してきたメイコが戻ってきたときには、辺りは暗くなり始めていた。それなのに照明をつけることすら忘れて話し込んでいた俺達に、メイコは呆れ顔をしたのだった。
家が隣同士で嫌でも帰り道が一緒になってしまう俺とメイコに、彼女も加わって三人で帰った。三人とも電車通学で、彼女は俺達より二つ学校寄りの駅を利用していた。
「先輩達と一緒に歌うのが楽しみです。これからよろしくお願いします」
降りる前に彼女はペコリと頭を下げて、そう言った。閉じたドアの向こう側で躊躇いがちに手を振る彼女へ、俺は名残惜しさを感じながら手を振り返した。
その時はまだ、彼女に対して特に強い感情を抱いてはいなかった。可愛い子だとは思ったけれど、気の合う後輩ができて良かったという程度にしか考えていなかったように思う。
メイコの作戦が通じたのは結局彼女一人だけで、顧問が担任をしていたクラスからあと四人引っ張って来て、その年のコーラス部は始まった。
他の四人が同じクラスで固まっていたからか、彼女は一年とではなく俺達三年と一緒にいることが多かった。最後に教室を片付けてから俺とメイコと彼女の三人で帰るのが、いつの間にか当たり前になっていた。
彼女は活動日以外にもよく顔を出して、一人でも歌の練習をしていた。最初に本人が言った通り、彼女は本当に歌が好きだった。よく知られた童謡からマイナーな曲まで、大切に、楽しそうに歌っていた。俺はそんな彼女の傍らで、さして上手くもないギターで伴奏をつけたり、メイコも加えて三人で声を合わせて歌ったりしていた。
同じ時間を過ごしながら、彼女の歌に対する真摯さや、真面目で優しい人柄に触れるうちに、俺は次第に彼女に惹かれていった。メイコに強引に引きずり込まれ、なんとなく続けていた部活が、何よりも幸せな時間に変わった。放課後のがらんとした教室に来て、彼女の笑顔と出会うのが、一日の一番の楽しみになった。彼女に会えない週末は味気なくて、早く過ぎろと願ったくらいだった。
いつしか呼び名は「初音さん」から「ミクちゃん」に変わった。俺とメイコが名前で呼び合っているせいか、後輩達も俺達のことを名字ではなく下の名前で呼んでいた。
「私はカイト先輩って呼んでるのに、先輩が『初音さん』って呼ぶのは何だか変です」
「だからミクでいいです」と彼女に言われ、その名を口にした時の緊張と喜びは今でも鮮明に覚えているほどだ。
それなのに俺は、その想いを彼女に伝えられなかった。
いっそ一目惚れなら、話は簡単だっただろう。勢いのままに告白して、玉砕によって踏ん切りをつけることもできただろうから。
俺が恋心を自覚したのは、彼女との間に穏やかで心地いい関係が築かれた後だった。気持ちを打ち明けることによって、彼女と歌う優しい時間まで失うことを俺は恐れたのだ。
それに彼女の方は、俺に特別な好意など抱いてはいないようだった。教室で俺と二人きりになる度何だか緊張していたし、帰り道での彼女の位置だって、いつもメイコを挟んだ反対側だった。おまけに何を勘違いしたのか、メイコとお似合いだと冷やかされたことさえあった。メイコと二人で口を揃えて「ただの幼馴染みだ」と言っても、ホントですか? と疑いながらニコニコと笑っていた。
彼女にとっての俺は、単なる先輩でしかなかった。
でも、先輩としてある程度は頼りにされていたのだろう、彼女は放課後の練習の合間に、歌手になりたいという夢を俺に教えてくれた。いつか東京に出て、ちゃんと歌の勉強がしたいと言っていた。
彼女の夢を聞いた俺は、「きっとなれるよ」と頷いた。無責任な励ましではなく、心からそう思ったからだ。彼女は特に天才的な音感や声量があった訳ではないけれど、その歌声は耳に心地よかったし、何より歌を愛し、歌に想いを込める能力に長けていた。歌への愛情をなくさない限り、彼女が夢を叶えることは不可能ではないと思えた。
「カイト先輩にそう言ってもらえると、なんだか勇気が湧いてきます」
俺の言葉に、彼女は嬉しげに微笑んだ。
その笑顔を見ながら俺は、まだ迷っていた志望校のうち、都内の大学を第一志望に決めていた。いつか東京に出てくる彼女の側にいられたらと、そう思った。
恋心を秘めたまま、彼女との穏やかな関係は続いていた。だがそれは部活を引退する九月までのこと。半年足らずの限られた生活は瞬く間に過ぎ、その短い間に俺は彼女との時間を積み重ね、想いを募らせていった。
夏休みが過ぎても俺達は単なる先輩と後輩のままで、特筆できることと言ったら誕生日プレゼントを渡したくらいだ。八月の最後に生まれた彼女は、文化祭が近かったためその日も練習に来ていて、呼び出さずとも自然と会えた。
プレゼントとして渡したのは、自分の好きな曲を集めて作ったCDだった。アクセサリーや小物も考えたけれど、ただの先輩から貰うには抵抗があるかもしれない。さりげなく渡せるものをと考えて、選んだ品だった。
生まれる前に流行った曲からマイナーな洋楽まで、ジャンルを無視した統一感のないその一枚を、彼女は意外にも気に入ってくれた。次の日顔を合わせた彼女は早速感想を聞かせてくれて、その中でも一世代前のとある歌謡曲が好きだと言った。
「お父さんが聴くような歌だからつい避けてたけど、今聴いても良い曲ですよね、これ」
歌い手がかつてのアイドルだったため、高校生である友人達とはおおっぴらに語る気になれないその歌を、俺と彼女は二人だけの秘密のようにこっそり聴いて、時折一緒に口ずさんだ。
タイムリミットが迫る中、俺は一つの決心をした。
──文化祭が終わったら、彼女に告白しよう。
その日が過ぎたら、今までのように彼女と顔を合わせる機会はなくなってしまう。
告白が上手くいけばこれからも彼女と一緒にいられるし、もし駄目だったとしても部活にごたごたを持ち込んで気まずくなる心配はない――と、そんな狡い計算を頭のどこかでしていた気もする。
ちょうどその頃、彼女と親しくなるきっかけになったアーティストのツアーが数年ぶりに予定され、その開催地に俺達の地元が含まれることを知った。そんなニュースすら俺の恋を後押ししてくれているような気がして、自分が受験生だということも忘れ、二ヶ月先のコンサートのチケットを二枚取った。
二人で一緒にあの始まりの歌を聴けるよう祈りつつ、そのチケットをお守りのようにバッグに忍ばせて、俺は文化祭の準備に奔走した。
例え古ぼけた体育館のステージだとしても、それは彼女と共に立てる最初で最後の晴れ舞台だった。だから
ここまで書いて、この青春は嘘くさいと思ってしまった帰宅部出身者。
書きたかったのは、誕生日直前にふられる兄さんだったかもしれない。
- | 2010-02-02 20:33
- | 日記
- |
2010年02月01日
白ノ娘鑑賞カイミク。
兄さんが卑屈すぎる気がする……
注※作中の曲は架空の曲ということにしておいてください
──生きていてごめんなさい──
スピーカーから聞こえた言葉に同調しそうになった俺は、いやいやと首を振る。
いくら行き詰っているからって、まだ自分はそこまでの状況に追い込まれてはいないはずだ。
その証拠に、と、俺はソファの端に腰かける。
先に座っていた彼女は振り向きもしなかったけれど、どこかへ行けと追い払うことも、顔も見たくないと逃げ出すこともしない。俺はその程度には、彼女に近づくことを許されている。
しかし横目でうかがえば、ツインテールを垂らした彼女の肩には、不自然に力が入っていた。
多分、緊張しているのだろう。警戒していると言った方がいいかもしれない。
どうやら俺は側にいるだけで、彼女に不快感を与えてしまうらしい。
嫌われている──のだろう。……認めたくないけれど、おそらくきっと。
それを承知で近づいているのだから、やはり「ごめんなさい」と詫びるのが筋なのだろう。「生きていて」とまではいかないけれど。
君の気持ちを知っているのに
──そばにいて、ごめん。
俺とミクとの関係は、最初はそう悪くないものだったと思う。
ミクより後にインストールされた俺は、目覚めてすぐに彼女との仕事が与えられた。家族としての関係を築くより先に二人で歌うことになった俺達は、兄妹というよりも仕事のパートナーという意識の方が強かった。
ウチのミクは生真面目な性格で、その当時から日々歌の勉強に余念がなかった。マスターがマイリストに放り込んだ動画を繰り返し観ては、他のボカロ達の歌を研究していたし、スタジオ以外の場所でも与えられた歌を口ずさんで、マスターの要求に応えられるようにと自主錬を続けていた。
歌うという本能を持つボーカロイドだからだろうか、彼女の歌に対する真摯な姿勢は、俺の目に好ましく映った。一緒に歌うと言っても、ミクはメインで俺はコーラスだけれども、彼女に負けないくらい真剣に仕事に取り組もうと意気込んだ。マスターの調声を受けている時以外でも、俺達は歌詞や歌い方について語り合い、与えられた歌をより完璧な作品に仕上げるために心を一つにして練習に励んでいた。
仕事のこと以外なにもなかったけれど、楽しい時間だった。幸せだったと言ってもいい。
でも、その時間は永遠に続くものではなかった。
二人で真面目に取り組んだこともあって、仕事は順調に終わった。ミクと一緒に完成した曲を聴き、アップされた動画の反響を見て手を取り合って喜んだ。
そして、それは二人きりで歌に浸る時間の終わりでもあった。
マスターは次なる曲に取りかかり、それはミク一人のための歌だった。初仕事を終えた俺は早速休暇を与えられる羽目になった訳だが、それをとやかく言うつもりはない。世の中のKAITOの扱いなど、大抵はこんなものだろう。
問題はミクとの関わりの方だった。同じ仕事に取り組んでいる間は、時間が足りないくらい話すことが沢山あったけれど、それが終わってしまえば、俺と彼女の間には何も共通点がなかった。しいて挙げるなら同じ会社から発売されたボーカロイドというくらいで、エンジンや性別だけでなく、立場や世間的評価など、俺達は何もかも違っていたのだ。
仕事以外のことで、ミクに何と話しかければいいのか、俺にはさっぱり解らなかった。起動して以来仕事仲間としてつき合ってきたから、今更他所のKAITOのように兄キャラを前面に出して、ミクに馴れ馴れしくするのも不自然に思えた。
いや、妙に身構えてしまうのは、俺が彼女を一人の女の子として意識しているからだろう。
二人で歌った初めての歌は、恋の歌だった。だから、彼女と歌っている時感じたときめきや切なさや胸の高鳴りは、歌に込められた想いに同調したものだと思っていた。
だけど仕事が終わった後も、胸の中の火は灯ったままだった。どうやら俺は一緒に歌ううちに、彼女に恋をしてしまったようだった。
恋を自覚したせいでギクシャクとふるまう俺を他所に、ミクは新しい仕事に没頭していた。前の曲と同じく、真剣に歌と向き合う彼女は、無神経に踏み込んではいけない近寄りがたさを身に纏っていた。
じゃあ、仕事や勉強の合間の息抜きの時には近づけたかというと、そうもいかなかった。俺から話しかけるといつも、ミクはやけに口ごもったり、目をそらしたりした。「ごめんなさい」とか「ちょっと」とか言ってその場を離れてしまうことも、しょっちゅうだった。
今にして思えば、その頃から苦手意識を抱かれていたのだろう。
そして、苦手が嫌悪に変わったのは、リンとレンの二人が来てからだった。
新しいボーカロイドを迎えたけれど、マスターは双子を一度起動しただけで後回しにし、相変わらずミクをメインで歌わせていた。
やって来て早々休暇に突入してしまった二人は、同じく仕事もなくぼんやりとしていた俺を、暇つぶしの相手に選んだ。生まれた時から側に姉弟がいるからか、それとも元々の性格か、リンとレンはとても人懐っこかった。俺のことを「カイト兄」と呼び、多少の暴力的なスキンシップを交えつつまとわりついてきた。
仕事仲間としての関係から始まったミクと違い、俺も自然と二人のことを妹や弟として扱うようになった。
リンとレンは、ミクにも物怖じせずに近づいていった。ミク姉と呼んで慕う二人に、ミクも心を開いていた。練習の邪魔をされると困り顔はしたけれど、彼女は姉らしい態度でやんわりと叱り、それから笑顔で二人の話に耳を傾けたり、一緒に練習したりしていた。ミクと双子は、仲の良い姉弟になった。
リンとレンが先にいた仲間と兄弟としての関係を築いていく中、俺とミクの関係は異質なものとして家族の輪の中から浮くようになっていった。双子と俺、双子とミクの間が兄弟としてしっくりと纏まったのに、俺とミクの間にはいつまでも妙なよそよそしさが横たわっている。その証拠に、お互いの呼び名すら定まっていなかった。ミクは俺のことを、その時によって、カイトさん、カイト兄さん、兄さん、とバラバラに呼んだ。そして俺の名を口にした後は、少しきまりが悪そうに視線を彷徨わせた。それ以前にどうにも呼びづらいのか、「あの」とか「ちょっと」とか呼びかけられることの方がずっと多い。
名前を呼ぶことすら嫌なのか……とは考えたくない。
始めの頃は俺の方も、彼女のことを「ミク」と呼んだり「ミクちゃん」と呼んだりしていた。どう呼びかけても居心地が悪そうな顔をするので、シンプルに「ミク」で統一することにしたのはまだ最近の──メイコやルカが来てからのことだ。
そんなギクシャクした俺達の関係は、リンとレンの目には奇妙に映ったようだ。
「ウチのアホ兄妹は面白くない」
双子の理不尽なクレームに眉を顰めると、二人は口を揃えて言い募った。
要点を纏めると、俺とミクはどうにも堅苦しくて、傍から見ていても息が詰まるのだそうだ。
「他所の二人みたいに、もっとはっちゃければいいのに。ネギを振り回したりアイス食べたりしながら、突っ込み不在のボケ漫才を繰り広げるのがKAITOとミクのコンビでしょう?」
「……それは偏見だと思うけど。他所様にも失礼だし、大体、ウチのミクは真面目だから、そんな行動似合わないよ」
リンの台詞に反論すると、妹はビシッと指を突きつけて言い放った。
「そうやって最初から諦めてるからいけないんだよ! ミク姉がそういう性格なら、カイト兄がうち溶けやすい雰囲気を作ってあげればいいじゃない。だからいつまで経っても仲良くなれないんだよ!」
その指摘に、俺は、うっ、と言葉を詰まらせた。
リンの言うことは図星だった。確かに俺は自分の恋心に振り回されて、ミクと親しくなる努力を怠っていたかもしれない。
「ミク姉は意外とジョークが解るタイプだよ。俺達がロードローラーの話してたら、『$字で走っちゃうのね』なんて言ってたし」
$字って何のことだろうと首を傾げる俺に、レンは「$字はどうでもいいから」と断って続けた。
「とにかく、カイト兄から何かアクション起こしてみなよ。ミク姉との間の壁を崩すきっかけになるかもしれないよ」
リンとレンの言葉に耳を傾けているうちに、俺はすっかりその気になってしまった。ミクと兄妹になりたい訳ではないけれど、恋人同士なんていきなり高い目標を目指す前に、家族としてもう少し親しくなっておいた方がいいと思えてきたのだ。
「でも、アクションを起こすって言っても、どんな風にしたらいいんだろう」
良いアイディアが思いつかなかった俺は、すがるような気持ちで二人に問いかけた。リンとレンはその言葉に、ニヤリと楽しそうに笑ってこう答えた。
「そりゃあ、KAITOと言えば、アレに決まってるじゃない」
……先に断っておくが、双子に悪意は全くなかった。
二人はそれが良い方法だと、真剣に考えていたのだ。堅苦しい俺達の関係を、笑い、あるいは怒りによって、うち崩せると思っていた。
実際、俺が行動に移したとき、二人はその場に居合わせて、腹を抱えて笑っていた。可笑しいよねえミク姉、カイト兄は変だよねえ、と、彼女を笑わせようと促していた。
だから、悪いのは俺なのだ。ミクと親しくなりたいと気ばかり焦って、冷静な判断を下せなかった。双子よりも俺の方がミクと長く過ごしていて、彼女の性格もよく知っていたはずなのに。
どうしてあの時の自分は、裸マフラーで彼女の前に現れるなんて暴挙に出てしまったのだろう。
正確に言うと、裸マフラーではなかったけれど。そこまでふっ切れなかった俺は、マフラーの他にトランクスを身につけていた。……いや、むしろその覚悟のなさが、結果を最悪の方向へと導いたのだろうか。
突如現れた変質者に対して、彼女は笑いも怒りもしなかった。
「ひ」と息を呑んだきり固まって、金縛りが解けた瞬間に一目散に逃げていった。
その後丸二日、ミクと顔を合わせることはなかった。
予想外の結果に、リンとレンも精一杯のフォローをしてくれた。けしかけたのは自分たちで、カイト兄は悪くない。怒るなら自分達を怒ってほしい。ミクのところへ行って、そう訴えてくれたのだ。しかし、返ってきた答えは、怒ってない、気にしないでほしい、というそっけない言葉だけだった。
三日目にしてやっと会うことができた俺にも、ミクは同じことを言った。けれどそれ以降、俺とミクとの距離は一層遠くなったのだった。俺が側に近寄ると、彼女はあきらかに緊張するようになった。露骨ではないけれど、極力俺を避けるようにもなった。
その後メイコとルカが次々と家族に加わったけれど、俺とミクの間はよそよそしいままだ。ミクは多分俺よりも、隣の家のがくぽやぐみと交わした言葉の方がずっと多いに違いない。
恋人はおろか家族以下の立ち位置にいる俺は、もう高望みはしないから、せめて兄にはなりたいと日々努力を続けているのだけれど、状況は未だ改善しない。
高望みはしないと言いつつも、捨てきれない下心に勘付かれているのだろうか。
──カイトが悪い。
これまでの経緯に思いを馳せていたら、不意に脳裏にそんな言葉が浮かんだ。
ドキリとして我に返ると、モニタに同じ文字が流れていた。それはミクが見ていた動画に寄せられたコメントの一つだった。
いや、一つではない。文字列を追う俺の視線の先で、次々と同じ意味のコメントが右から左へと流れていった。
ミクが見ていた動画は有名なシリーズものの一作で、俺も最近見たばかりだった。その時はKAITO内格差について考えてしまい、コメントはさして気にしていなかった。しかし、このタイミングで「カイトが悪い」などと言われると、ついつい弁護したくなってしまう。
「これって俺が悪いの?」
画面の中の「もうコイツ亜種なんじゃね?」というくらい美形のKAITOは、ミクが扮する娘に恋をして、リンが演じる王女の求婚を拒んだ。それが原因となって、娘の国は滅ぼされ娘も命を落とすことになった。悲劇の一因となったという意味では、確かにKAITOも悪いのかもしれないけれど。
思わず呟いてから傍らを見ると、ミクが俺に視線を向けていた。多少は彼女の興味を引けたのだろうかと、俺は少しウキウキしながら優男の弁護を続ける。
「俺は純粋にミクを愛しただけだろ? 俺がミクを好きになっちゃいけなかったのか、って話になるよねえ」
「『俺』じゃなくて『KAITO』でしょ?」
返ってきたのは冷たい声だった。
うん、解ってる。底辺KAITOが有名KAITOを弁護するなんて、おこがましいにもほどがある。
でもここで口を噤んだら、ミクとの会話は終了だ。めげるな、俺。
「俺も一応KAITOなんだけど……。まあ、そのKAITOが――」
「ちょっと、寄らないでよ!」
鋭い声で拒絶され、俺はすごすごとソファの端に戻った。必死になるあまり、近づいていい境界を踏み越えていたらしい。明言された訳ではないけれど、俺はミクの半径五十センチ以内に入ることを許されてはいないのだ。
己の失敗に唇を噛むと同時に、画面の中の青い人が憎らしくなった。考えてみれば、奴を庇う謂れは全くない。奴は美形で王様な上に、何より緑の娘と恋仲になったのだから。変質者扱いで緑の子に嫌われてるKAITOが、弁護などしてやらなくてもよかったのだ。むしろ呪われろ、恵まれた優男。
──とてもとても孤独な人
内心でモニタの中のKAITOを罵っていると、歌詞がグサリと胸を突き刺した。
いや、俺はそこまで孤独じゃない。モニタ越しに他所のKAITOを呪うなんて陰湿な真似をしているけれど、ミクには嫌われてるけど、でも他の家族とは割と上手くいってるんだ。お隣のがっくんとぐみちゃんとだって、結構仲良くやってるし……
なのにミク一人に嫌われただけで、どうして世界の全てから切り離された気分になるのだろう。
原因は解ってる。俺がミクに恋をしているからだ。
早く諦めればいいのだ。どうせもうこの恋は叶わない。いつまでも未練たらしく恋心を抱えているせいで、ミクとはギクシャクしているし、些細なことで落ち込んでばかりいる。
ぐるぐると考えているうちに、スピーカーから流れる音楽は終わった。だけどミクは次の曲を流そうとしない。俺が立ち去るのを待っているのかもしれない。
「ウチは悲劇とは無縁だよね」
俺は笑って彼女に話しかけた。視線を寄越した彼女に、俺は笑みを絶やさぬようにして続けた。
「だってウチでは、KAITOとミクが恋に落ちるなんてありえないからね」
俺は君に恋なんてしてない。だから怖がらなくてもいいんだよ。
そういうつもりで言葉をかけつつも、心のどこかで彼女がそれを否定してくれることを願っている。我ながら酷い矛盾だと思う。
そして彼女は否定も肯定もせず、ただ瞬きを返しただけだった。
笑顔が保てなくなりそうで、俺は席を立ちその場を離れた。
部屋から出たところで、リンと鉢合わせる。
情けない顔をしていたのだろう、リンは俺を見て軽く眉を寄せた後、ニコッと優しい笑みを見せた。
「どうしたのカイト兄。何か考えごと?」
「うん、KAITO内格差について考えてたんだ」
俺は本当の悩みは口にせず、さっきまでミクと観ていた動画の話題を出した。ボーカロイドの姿など飾りにすぎないけれど、やはり大の男が小さな女の子に泣きつくのは情けないと思ったからだ。
「確かにあのKAITOはカッコいいよねー。あれじゃあ王女が恋するのも当然って感じ」
「へえ、リンはああいうのがタイプなんだ」
「あれー? カイト兄、ヤキモチ?」
「別にそういう訳じゃないけど……」
「ひがむことないよ。私はカイト兄の方が好きだよ? だって、あんなカッコいいKAITOが家の中にいたら、毎日緊張しちゃうもん。その点、ウチのカイト兄は、とても親しみやすい仕様だもんね」
「一応、ありがとうって言っておくよ、リン」
拗ねた口調で礼を言うと、リンが、あはは、と笑う。
「まあ、平凡な仕様のおかげで、国を揺るがす恋物語には巻き込まれずに済みそうだよ。王女にも緑の子にも見向きもされず、平凡な青い人は穏やかな一生を送りました──で、めでたしめでたし、だね」
「そんな寂しいこと言わないでよ、カイト兄。心配しなくても、いざとなったら私がカイト兄をお嫁にもらってあげるから」
「なんで俺が嫁にもらわれる側なんだ。大体、レンに無断でそんなこと言っていいの?」
ニヤリと笑って冷やかすと、リンは面白いくらいに真っ赤になった。
「ちょ……! なんでレンの名前が出てくるのよ!」
「なんでって、俺がリンの嫁になったら、レンは俺の義兄になるじゃないか。断りを入れるのは当然だろ? それとも、何か違う理由があるのかな?」
解っててはぐらかすと、リンは頬を膨らませて俺のマフラーを引っぱった。
「カイト兄って、デリカシーないよね」
「ご、ごめんごめん。それ以上締められたら死ぬから、離して!」
リンは、べえ、と舌を出してから、マフラーを手から離した。それから二人で、声を上げて笑う。
リンのお蔭で少し浮上できたな、と考えていると、妹はピタッと笑うのをやめた。
その視線を追って振り返ると、ミクが立っていた。ミクはジロリと俺達を睨むと、無言のまま部屋を通り過ぎて、奥のドアへと姿を消した。
「……ミク姉、怖ーい」
「勉強の邪魔をしたんだから仕方ないよ」
多分俺達の笑い声が、隣の部屋にも響いたのだろう。まったく、どうして俺は、いつもいつも間が悪いのだろう。
今後は気をつけようね、と、唇に人差し指を当て、笑みを交わした俺達は別々のドアから部屋を出た。
いままでミクがいた部屋に入った俺は、ソファに座ってさっきの動画を再生する。
他所のミクの声が、傍観者として物語を紡いでいる。
ミクであってミクでないその声が、優男と緑の娘との恋を否定的に語っていた。
二人の出会いが全てを狂わせたのだと。
それに被さるように、“カイトが悪い”という文字が流れる。
確かに、カイトが悪いのだ。
誰にでも愛される緑の娘を、誰よりも優れた美しい彼女を、身の程知らずにも独り占めしようとした。だから悲劇が起きたのだ。
己の分をわきまえて、美しいものは美しいものとして、手の届かないところからただ愛でていればいい。
そう解っているのに、どうして諦めきれないんだろう。
──生きていてごめんなさい。
「……だから、まだそこまでは追い込まれてないから」
スピーカーから流れる言葉に反論してから、でもその境地に至るのもそう遠くないことなんじゃないかと、俺は小さくため息をついた。
ミクさんは、裸マフラーな兄さんを見て欲情してしまったのだと思います。
(このブログに生息してるミクさんは、そんなのばかりです)
兄さんが卑屈すぎる気がする……
注※作中の曲は架空の曲ということにしておいてください

──生きていてごめんなさい──
スピーカーから聞こえた言葉に同調しそうになった俺は、いやいやと首を振る。
いくら行き詰っているからって、まだ自分はそこまでの状況に追い込まれてはいないはずだ。
その証拠に、と、俺はソファの端に腰かける。
先に座っていた彼女は振り向きもしなかったけれど、どこかへ行けと追い払うことも、顔も見たくないと逃げ出すこともしない。俺はその程度には、彼女に近づくことを許されている。
しかし横目でうかがえば、ツインテールを垂らした彼女の肩には、不自然に力が入っていた。
多分、緊張しているのだろう。警戒していると言った方がいいかもしれない。
どうやら俺は側にいるだけで、彼女に不快感を与えてしまうらしい。
嫌われている──のだろう。……認めたくないけれど、おそらくきっと。
それを承知で近づいているのだから、やはり「ごめんなさい」と詫びるのが筋なのだろう。「生きていて」とまではいかないけれど。
君の気持ちを知っているのに
──そばにいて、ごめん。
俺とミクとの関係は、最初はそう悪くないものだったと思う。
ミクより後にインストールされた俺は、目覚めてすぐに彼女との仕事が与えられた。家族としての関係を築くより先に二人で歌うことになった俺達は、兄妹というよりも仕事のパートナーという意識の方が強かった。
ウチのミクは生真面目な性格で、その当時から日々歌の勉強に余念がなかった。マスターがマイリストに放り込んだ動画を繰り返し観ては、他のボカロ達の歌を研究していたし、スタジオ以外の場所でも与えられた歌を口ずさんで、マスターの要求に応えられるようにと自主錬を続けていた。
歌うという本能を持つボーカロイドだからだろうか、彼女の歌に対する真摯な姿勢は、俺の目に好ましく映った。一緒に歌うと言っても、ミクはメインで俺はコーラスだけれども、彼女に負けないくらい真剣に仕事に取り組もうと意気込んだ。マスターの調声を受けている時以外でも、俺達は歌詞や歌い方について語り合い、与えられた歌をより完璧な作品に仕上げるために心を一つにして練習に励んでいた。
仕事のこと以外なにもなかったけれど、楽しい時間だった。幸せだったと言ってもいい。
でも、その時間は永遠に続くものではなかった。
二人で真面目に取り組んだこともあって、仕事は順調に終わった。ミクと一緒に完成した曲を聴き、アップされた動画の反響を見て手を取り合って喜んだ。
そして、それは二人きりで歌に浸る時間の終わりでもあった。
マスターは次なる曲に取りかかり、それはミク一人のための歌だった。初仕事を終えた俺は早速休暇を与えられる羽目になった訳だが、それをとやかく言うつもりはない。世の中のKAITOの扱いなど、大抵はこんなものだろう。
問題はミクとの関わりの方だった。同じ仕事に取り組んでいる間は、時間が足りないくらい話すことが沢山あったけれど、それが終わってしまえば、俺と彼女の間には何も共通点がなかった。しいて挙げるなら同じ会社から発売されたボーカロイドというくらいで、エンジンや性別だけでなく、立場や世間的評価など、俺達は何もかも違っていたのだ。
仕事以外のことで、ミクに何と話しかければいいのか、俺にはさっぱり解らなかった。起動して以来仕事仲間としてつき合ってきたから、今更他所のKAITOのように兄キャラを前面に出して、ミクに馴れ馴れしくするのも不自然に思えた。
いや、妙に身構えてしまうのは、俺が彼女を一人の女の子として意識しているからだろう。
二人で歌った初めての歌は、恋の歌だった。だから、彼女と歌っている時感じたときめきや切なさや胸の高鳴りは、歌に込められた想いに同調したものだと思っていた。
だけど仕事が終わった後も、胸の中の火は灯ったままだった。どうやら俺は一緒に歌ううちに、彼女に恋をしてしまったようだった。
恋を自覚したせいでギクシャクとふるまう俺を他所に、ミクは新しい仕事に没頭していた。前の曲と同じく、真剣に歌と向き合う彼女は、無神経に踏み込んではいけない近寄りがたさを身に纏っていた。
じゃあ、仕事や勉強の合間の息抜きの時には近づけたかというと、そうもいかなかった。俺から話しかけるといつも、ミクはやけに口ごもったり、目をそらしたりした。「ごめんなさい」とか「ちょっと」とか言ってその場を離れてしまうことも、しょっちゅうだった。
今にして思えば、その頃から苦手意識を抱かれていたのだろう。
そして、苦手が嫌悪に変わったのは、リンとレンの二人が来てからだった。
新しいボーカロイドを迎えたけれど、マスターは双子を一度起動しただけで後回しにし、相変わらずミクをメインで歌わせていた。
やって来て早々休暇に突入してしまった二人は、同じく仕事もなくぼんやりとしていた俺を、暇つぶしの相手に選んだ。生まれた時から側に姉弟がいるからか、それとも元々の性格か、リンとレンはとても人懐っこかった。俺のことを「カイト兄」と呼び、多少の暴力的なスキンシップを交えつつまとわりついてきた。
仕事仲間としての関係から始まったミクと違い、俺も自然と二人のことを妹や弟として扱うようになった。
リンとレンは、ミクにも物怖じせずに近づいていった。ミク姉と呼んで慕う二人に、ミクも心を開いていた。練習の邪魔をされると困り顔はしたけれど、彼女は姉らしい態度でやんわりと叱り、それから笑顔で二人の話に耳を傾けたり、一緒に練習したりしていた。ミクと双子は、仲の良い姉弟になった。
リンとレンが先にいた仲間と兄弟としての関係を築いていく中、俺とミクの関係は異質なものとして家族の輪の中から浮くようになっていった。双子と俺、双子とミクの間が兄弟としてしっくりと纏まったのに、俺とミクの間にはいつまでも妙なよそよそしさが横たわっている。その証拠に、お互いの呼び名すら定まっていなかった。ミクは俺のことを、その時によって、カイトさん、カイト兄さん、兄さん、とバラバラに呼んだ。そして俺の名を口にした後は、少しきまりが悪そうに視線を彷徨わせた。それ以前にどうにも呼びづらいのか、「あの」とか「ちょっと」とか呼びかけられることの方がずっと多い。
名前を呼ぶことすら嫌なのか……とは考えたくない。
始めの頃は俺の方も、彼女のことを「ミク」と呼んだり「ミクちゃん」と呼んだりしていた。どう呼びかけても居心地が悪そうな顔をするので、シンプルに「ミク」で統一することにしたのはまだ最近の──メイコやルカが来てからのことだ。
そんなギクシャクした俺達の関係は、リンとレンの目には奇妙に映ったようだ。
「ウチのアホ兄妹は面白くない」
双子の理不尽なクレームに眉を顰めると、二人は口を揃えて言い募った。
要点を纏めると、俺とミクはどうにも堅苦しくて、傍から見ていても息が詰まるのだそうだ。
「他所の二人みたいに、もっとはっちゃければいいのに。ネギを振り回したりアイス食べたりしながら、突っ込み不在のボケ漫才を繰り広げるのがKAITOとミクのコンビでしょう?」
「……それは偏見だと思うけど。他所様にも失礼だし、大体、ウチのミクは真面目だから、そんな行動似合わないよ」
リンの台詞に反論すると、妹はビシッと指を突きつけて言い放った。
「そうやって最初から諦めてるからいけないんだよ! ミク姉がそういう性格なら、カイト兄がうち溶けやすい雰囲気を作ってあげればいいじゃない。だからいつまで経っても仲良くなれないんだよ!」
その指摘に、俺は、うっ、と言葉を詰まらせた。
リンの言うことは図星だった。確かに俺は自分の恋心に振り回されて、ミクと親しくなる努力を怠っていたかもしれない。
「ミク姉は意外とジョークが解るタイプだよ。俺達がロードローラーの話してたら、『$字で走っちゃうのね』なんて言ってたし」
$字って何のことだろうと首を傾げる俺に、レンは「$字はどうでもいいから」と断って続けた。
「とにかく、カイト兄から何かアクション起こしてみなよ。ミク姉との間の壁を崩すきっかけになるかもしれないよ」
リンとレンの言葉に耳を傾けているうちに、俺はすっかりその気になってしまった。ミクと兄妹になりたい訳ではないけれど、恋人同士なんていきなり高い目標を目指す前に、家族としてもう少し親しくなっておいた方がいいと思えてきたのだ。
「でも、アクションを起こすって言っても、どんな風にしたらいいんだろう」
良いアイディアが思いつかなかった俺は、すがるような気持ちで二人に問いかけた。リンとレンはその言葉に、ニヤリと楽しそうに笑ってこう答えた。
「そりゃあ、KAITOと言えば、アレに決まってるじゃない」
……先に断っておくが、双子に悪意は全くなかった。
二人はそれが良い方法だと、真剣に考えていたのだ。堅苦しい俺達の関係を、笑い、あるいは怒りによって、うち崩せると思っていた。
実際、俺が行動に移したとき、二人はその場に居合わせて、腹を抱えて笑っていた。可笑しいよねえミク姉、カイト兄は変だよねえ、と、彼女を笑わせようと促していた。
だから、悪いのは俺なのだ。ミクと親しくなりたいと気ばかり焦って、冷静な判断を下せなかった。双子よりも俺の方がミクと長く過ごしていて、彼女の性格もよく知っていたはずなのに。
どうしてあの時の自分は、裸マフラーで彼女の前に現れるなんて暴挙に出てしまったのだろう。
正確に言うと、裸マフラーではなかったけれど。そこまでふっ切れなかった俺は、マフラーの他にトランクスを身につけていた。……いや、むしろその覚悟のなさが、結果を最悪の方向へと導いたのだろうか。
突如現れた変質者に対して、彼女は笑いも怒りもしなかった。
「ひ」と息を呑んだきり固まって、金縛りが解けた瞬間に一目散に逃げていった。
その後丸二日、ミクと顔を合わせることはなかった。
予想外の結果に、リンとレンも精一杯のフォローをしてくれた。けしかけたのは自分たちで、カイト兄は悪くない。怒るなら自分達を怒ってほしい。ミクのところへ行って、そう訴えてくれたのだ。しかし、返ってきた答えは、怒ってない、気にしないでほしい、というそっけない言葉だけだった。
三日目にしてやっと会うことができた俺にも、ミクは同じことを言った。けれどそれ以降、俺とミクとの距離は一層遠くなったのだった。俺が側に近寄ると、彼女はあきらかに緊張するようになった。露骨ではないけれど、極力俺を避けるようにもなった。
その後メイコとルカが次々と家族に加わったけれど、俺とミクの間はよそよそしいままだ。ミクは多分俺よりも、隣の家のがくぽやぐみと交わした言葉の方がずっと多いに違いない。
恋人はおろか家族以下の立ち位置にいる俺は、もう高望みはしないから、せめて兄にはなりたいと日々努力を続けているのだけれど、状況は未だ改善しない。
高望みはしないと言いつつも、捨てきれない下心に勘付かれているのだろうか。
──カイトが悪い。
これまでの経緯に思いを馳せていたら、不意に脳裏にそんな言葉が浮かんだ。
ドキリとして我に返ると、モニタに同じ文字が流れていた。それはミクが見ていた動画に寄せられたコメントの一つだった。
いや、一つではない。文字列を追う俺の視線の先で、次々と同じ意味のコメントが右から左へと流れていった。
ミクが見ていた動画は有名なシリーズものの一作で、俺も最近見たばかりだった。その時はKAITO内格差について考えてしまい、コメントはさして気にしていなかった。しかし、このタイミングで「カイトが悪い」などと言われると、ついつい弁護したくなってしまう。
「これって俺が悪いの?」
画面の中の「もうコイツ亜種なんじゃね?」というくらい美形のKAITOは、ミクが扮する娘に恋をして、リンが演じる王女の求婚を拒んだ。それが原因となって、娘の国は滅ぼされ娘も命を落とすことになった。悲劇の一因となったという意味では、確かにKAITOも悪いのかもしれないけれど。
思わず呟いてから傍らを見ると、ミクが俺に視線を向けていた。多少は彼女の興味を引けたのだろうかと、俺は少しウキウキしながら優男の弁護を続ける。
「俺は純粋にミクを愛しただけだろ? 俺がミクを好きになっちゃいけなかったのか、って話になるよねえ」
「『俺』じゃなくて『KAITO』でしょ?」
返ってきたのは冷たい声だった。
うん、解ってる。底辺KAITOが有名KAITOを弁護するなんて、おこがましいにもほどがある。
でもここで口を噤んだら、ミクとの会話は終了だ。めげるな、俺。
「俺も一応KAITOなんだけど……。まあ、そのKAITOが――」
「ちょっと、寄らないでよ!」
鋭い声で拒絶され、俺はすごすごとソファの端に戻った。必死になるあまり、近づいていい境界を踏み越えていたらしい。明言された訳ではないけれど、俺はミクの半径五十センチ以内に入ることを許されてはいないのだ。
己の失敗に唇を噛むと同時に、画面の中の青い人が憎らしくなった。考えてみれば、奴を庇う謂れは全くない。奴は美形で王様な上に、何より緑の娘と恋仲になったのだから。変質者扱いで緑の子に嫌われてるKAITOが、弁護などしてやらなくてもよかったのだ。むしろ呪われろ、恵まれた優男。
──とてもとても孤独な人
内心でモニタの中のKAITOを罵っていると、歌詞がグサリと胸を突き刺した。
いや、俺はそこまで孤独じゃない。モニタ越しに他所のKAITOを呪うなんて陰湿な真似をしているけれど、ミクには嫌われてるけど、でも他の家族とは割と上手くいってるんだ。お隣のがっくんとぐみちゃんとだって、結構仲良くやってるし……
なのにミク一人に嫌われただけで、どうして世界の全てから切り離された気分になるのだろう。
原因は解ってる。俺がミクに恋をしているからだ。
早く諦めればいいのだ。どうせもうこの恋は叶わない。いつまでも未練たらしく恋心を抱えているせいで、ミクとはギクシャクしているし、些細なことで落ち込んでばかりいる。
ぐるぐると考えているうちに、スピーカーから流れる音楽は終わった。だけどミクは次の曲を流そうとしない。俺が立ち去るのを待っているのかもしれない。
「ウチは悲劇とは無縁だよね」
俺は笑って彼女に話しかけた。視線を寄越した彼女に、俺は笑みを絶やさぬようにして続けた。
「だってウチでは、KAITOとミクが恋に落ちるなんてありえないからね」
俺は君に恋なんてしてない。だから怖がらなくてもいいんだよ。
そういうつもりで言葉をかけつつも、心のどこかで彼女がそれを否定してくれることを願っている。我ながら酷い矛盾だと思う。
そして彼女は否定も肯定もせず、ただ瞬きを返しただけだった。
笑顔が保てなくなりそうで、俺は席を立ちその場を離れた。
部屋から出たところで、リンと鉢合わせる。
情けない顔をしていたのだろう、リンは俺を見て軽く眉を寄せた後、ニコッと優しい笑みを見せた。
「どうしたのカイト兄。何か考えごと?」
「うん、KAITO内格差について考えてたんだ」
俺は本当の悩みは口にせず、さっきまでミクと観ていた動画の話題を出した。ボーカロイドの姿など飾りにすぎないけれど、やはり大の男が小さな女の子に泣きつくのは情けないと思ったからだ。
「確かにあのKAITOはカッコいいよねー。あれじゃあ王女が恋するのも当然って感じ」
「へえ、リンはああいうのがタイプなんだ」
「あれー? カイト兄、ヤキモチ?」
「別にそういう訳じゃないけど……」
「ひがむことないよ。私はカイト兄の方が好きだよ? だって、あんなカッコいいKAITOが家の中にいたら、毎日緊張しちゃうもん。その点、ウチのカイト兄は、とても親しみやすい仕様だもんね」
「一応、ありがとうって言っておくよ、リン」
拗ねた口調で礼を言うと、リンが、あはは、と笑う。
「まあ、平凡な仕様のおかげで、国を揺るがす恋物語には巻き込まれずに済みそうだよ。王女にも緑の子にも見向きもされず、平凡な青い人は穏やかな一生を送りました──で、めでたしめでたし、だね」
「そんな寂しいこと言わないでよ、カイト兄。心配しなくても、いざとなったら私がカイト兄をお嫁にもらってあげるから」
「なんで俺が嫁にもらわれる側なんだ。大体、レンに無断でそんなこと言っていいの?」
ニヤリと笑って冷やかすと、リンは面白いくらいに真っ赤になった。
「ちょ……! なんでレンの名前が出てくるのよ!」
「なんでって、俺がリンの嫁になったら、レンは俺の義兄になるじゃないか。断りを入れるのは当然だろ? それとも、何か違う理由があるのかな?」
解っててはぐらかすと、リンは頬を膨らませて俺のマフラーを引っぱった。
「カイト兄って、デリカシーないよね」
「ご、ごめんごめん。それ以上締められたら死ぬから、離して!」
リンは、べえ、と舌を出してから、マフラーを手から離した。それから二人で、声を上げて笑う。
リンのお蔭で少し浮上できたな、と考えていると、妹はピタッと笑うのをやめた。
その視線を追って振り返ると、ミクが立っていた。ミクはジロリと俺達を睨むと、無言のまま部屋を通り過ぎて、奥のドアへと姿を消した。
「……ミク姉、怖ーい」
「勉強の邪魔をしたんだから仕方ないよ」
多分俺達の笑い声が、隣の部屋にも響いたのだろう。まったく、どうして俺は、いつもいつも間が悪いのだろう。
今後は気をつけようね、と、唇に人差し指を当て、笑みを交わした俺達は別々のドアから部屋を出た。
いままでミクがいた部屋に入った俺は、ソファに座ってさっきの動画を再生する。
他所のミクの声が、傍観者として物語を紡いでいる。
ミクであってミクでないその声が、優男と緑の娘との恋を否定的に語っていた。
二人の出会いが全てを狂わせたのだと。
それに被さるように、“カイトが悪い”という文字が流れる。
確かに、カイトが悪いのだ。
誰にでも愛される緑の娘を、誰よりも優れた美しい彼女を、身の程知らずにも独り占めしようとした。だから悲劇が起きたのだ。
己の分をわきまえて、美しいものは美しいものとして、手の届かないところからただ愛でていればいい。
そう解っているのに、どうして諦めきれないんだろう。
──生きていてごめんなさい。
「……だから、まだそこまでは追い込まれてないから」
スピーカーから流れる言葉に反論してから、でもその境地に至るのもそう遠くないことなんじゃないかと、俺は小さくため息をついた。
ミクさんは、裸マフラーな兄さんを見て欲情してしまったのだと思います。
(このブログに生息してるミクさんは、そんなのばかりです)
- | 2010-02-01 00:44
- | 小説(短編)
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